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『俺のうん子』:俺は寝たきりになるけれど…連載002

[連載] 俺は寝たきりになるけれど…002

食事中の方と、なんか嫌な予感がする方はお願いだから見ないでください。

うん子を漏らした話です。

せっかくいいタイミングで漏らしたので、ここで報告させていただきます。

いつかこの日が来るとは思っていました。

今までも危ないなあと思った日はありました。

もう少し先かと思っていましたが、とうとうその日が訪れてしまいました。

少しお腹がゴロゴロなっていたことは分かっていました。

早めにトイレに行ったほうがいいことは分かっていました。

でも、僕は自分を過信してしまいました。

そう、調子に乗ったのです。

便意が強くなってきて、やっとトイレにベッドから向かおうとしたのですが、

体を動かそうとすると病気の症状で、筋肉に異常に力が入ってしまいます。

足がピーンと伸びちゃうんです。

こんな感じ。

その時にはお尻にも力が入るんですが、実は筋肉という筋肉に力が入り

腹筋にまで力が入ってしまいます。

お尻だけであれば。お尻の穴をキュッと締めれば済むものの、腹筋もフルパワーで力が入ってしまいます。

実を出そうとする筋肉と、それを阻止しようとする筋肉のせめぎ合い。

お尻の穴を閉めようとすればするほど、腹筋にも同じように力が入り制御不能なんです。

まじ地獄なんす。

試練の連続なんです。

そんな中でベットからはなんとか降りて、立つことができました。

そこからトイレまで1メートルの戦いが始まります。

すぐそこの1メートル、されど遠い1メートル。

おしっこを我慢する時も同じです、我慢しようとすればするほど全身に力が入ります。

そして力が入れば入るほど我慢できません。

話は変わりますが、俺はベッドでおしっこを漏らしたことは病気してからまだありません。

トイレの入り口まではなんとかこらえることが今はできています。

でもなぜか、悲しい事ではあるんですが、扉をなんとか開けて、さあ便器は目の前だという時に

僕の脳みそが勝手に解放の放尿のスイッチを入れてしまうのです。

いつもスイッチが壊れるのはトイレの中。

家でお酒を飲んだら解放されやすいことは分かってるんです。

でもわかっちゃいるけど辞められない。

初めて漏らした時は落ち込みました。

人間じゃなくなるような気持ちでした。

これからどうなるんだと自分を悲観して責めました。

でも今は慣れました。

人間は慣れちゃうんですねー。

暗く考えても治るわけやないし。

考えても仕方ないし。

まいっかと少しづつ思えるようになりました。

漏らしたことを隠すために、脱いだズボンとパンツを分かりづらい場所に(隠し)隠すことにも慣れました。

そしてそれを親が発見して何も言わず洗濯してくれることにも慣れてしまいました。

そしてその日はやってきました。

全身にはいる力。

全身の筋肉がちぎれそうなくらいの、あふれんばかりの強力なパワー。

お尻の穴に、筋肉に集中させましたが

ベッドから立ち上がった時にさらに腹筋に力が入り

限界まで理性が開放を妨げましたが

体力の限界でした

『体力の限界です』

千代の富士が引退した気持ちが今は良く分かります。

ベッドの脇で俺は諦めてしまいました。

気力もなくなり心が折れてしまいました。

うん子をすると気持ちいいはずなのに、、、

トイレでは最高に気持ちよくすっきりするのに。

薄い布をまとったまま、トイレではない場所でするとなぜこんなにまで嫌な気持ちになるのか。

いや、今思えば気持ちいいことは変わりなかった。

でも、出た瞬間の爽快感からの、ボクサーパンツに柔らかく緩いものがたまる感触。

初めてのキスの時に唇を外してしまった、あのほろ苦さとも違う。

何とも言えない感覚的な気持ち悪さと、心に突き刺さるような、50tハンマーで頭をズんと殴られたような大きなダメージ感。

その後、絶対やめてくれと心で叫びましたが駄目でした。

パンツの隙間からぽとっ!ぽとっ!と柔らかい塊が足をゆっくりとつたいながら落ちていくあの感触。

足首が少しだけしまっているけど、隙間はあるタイプのズボン。

悲劇が起こることを想像しながら1メートル先のトイレを目指し足を恐る恐る進めるんですが

進むたびにパンツから落ち行くうん子。

そのたびに足をつたい異臭を放つうん子。

太ももに、ふくらはぎにねっとりと絡みつきながら落ち行くうん子。

そしてトイレの扉を開け一歩足を踏み入れた瞬間。

ズボンの裾の隙間から少し緑がかった犬の糞ぐらいのねっとりしたうん子がぼとり。

足首やかかとにもべっとりとうん子。

心を冷静に保つことに集中しました。

昼間で親も家にいたので、どうすれば誰にもばれずに処理するのかを必死で考えました。

俺は、まだうん子を処理することには慣れていない。

もちろんうん子を漏らす事にも慣れていない。

まずは落ちてきたうん子と、うん子の足跡が残らないようにかかとにべっとりついたうん子の処理。

うん子って名付けてみると、なんか不思議だけど愛着がわいてきた。

ティッシュを大量に使いふくものの、手先が思うように動かせないし、可動域が狭すぎてかかとのうん子が取れない。

それどころか自分のうん子のあまりの臭さに悶絶。

下だけではなく上からもリバースしそうになる始末の俺。

まじ水洗便所がある文明に感謝!

壁に寄りかかりながら動かない足を、動きづらい両手で必死で持ち上げ足を便器の中に放り込む。

そして水を流しながら、かかとのうん子を洗い流す俺。

これぐらいからなんか笑えてきた。

なんかまた一つ大きな経験を経たんだな。

これからもいろんなことを経て生きていくんだな。

乗り越えていかないといけないなという気持ちや、何とも言えないやるせなさや、とうとうやってしまったという絶望感やあれやこれ。

うまく説明できない。

赤ちゃんに返っていく俺。

脳は大人だけど、それ以外は赤ちゃんに返っていく感じ。

おっぱい飲ませてもらえない大人の赤ちゃん。

お風呂へ静かに誰にもばれないように向かう。

情けない。。。。

そして、何より臭い。

お風呂の中に服のまま入り、シャワーを出しながらゆっくりゆっくり濡れて脱ぎづらくなった服を脱ぎ。

このぐらいから心が少し落ち着いてきた。

しかし臭い。

湯気でまた香りが上がってくる。

もちろんいい香りではない。

うん子の湯気に包まれる俺。

うん子と一体になる俺。

そして身体をきれいに洗いながら、次のウブマグのネタができたなと考えはじめた。

俺のうん子。

ありがとう俺のうん子。

君のおかげでひとつネタができたよ。

君のおかげで大きな経験ができ、成長できたよ。

君を愛しているよ。とまでは思えないけど。

運がたくさーんつきました。

無理やりでも前向きにプラスに考える練習中ですが、なかなか技術が上がってきたと我ながら思います。

正直恥ずかしいし。

家族にはこれ見られたくない。

でも自分でトイレに行けなくなる未来は確実にくる。

そういえばALS患者でもある世界的なホーキング博士が死んじゃったな。

彼の言葉
『どんなに困難な人生でも、命る限り希望はある』
『人生はできることに集中することであり、できないことを悔やむことではない』

さすがいい言葉残すよな~。

俺には希望しかないな。

よし、できることに集中しよう!

出来ないことは人に頼ろう!

これから出会うであろう福祉職のみなさま。

俺のうん子は臭いですが、是非寛大な気持ちでよろしくお願いします。

でも今回一番分かったことは、おなかを下すほど冷たい缶酎ハイを飲みすぎたらいけないということ。

でもやめられないんだな~。

それだけは確かだな~。

ただのあほやな~!!!

以上、うん子の話おわり

Text by : 落水洋介

無職の車イスライダー。
寝たきりでもできる仕事を作るために冒険中。

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