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『小児医療を支えるコメディカル ①チャイルド・ライフ・スペシャリスト』:午前0時の診療所 by リアルDr.コトー005

[連載] 午前0時の診療所 by リアルDr.コトー
005

医師、看護師、薬剤師 etc.
病院には沢山のスタッフがいます
誰が抜けても成り立たないチーム、
小児医療に欠かせない仲間たちを紹介していきます

①チャイルド・ライフ・スペシャリスト、通称CLS

子どものころ、力づくで抑えつけられ、注射や採血をされた覚えがある方も多いと思います。
当たり前と言われていたそんな光景も今では時代遅れ

CLSは医療環境にある子どもや家族に心理社会的支援を提供する専門職です。
意思決定が難しい子供たちの人権の尊厳と尊重のために特別なトレーニングを受けた方々で、海外では多くの病院で導入されている一方
日本での導入は29施設にとどまり、日本人の有資格者は30名程度です。

一見遊んでいるように見えるこの写真ですが
点滴とはどういう仕組みか、どうやって身体につながるか、どんな薬が入るか、そんな説明を行っています。これをプレパレーションと呼び、大人でいうインフォームド・コンセントのような役割を持ちます。

ここ数年でバリエーションも増え、ニーズが増えていることを実感します。

こちらはMRIの模型
暗闇と騒音の中で30分以上動いてはいけない検査ですが、
説明をした状態でも恐怖心で指示に従えなくなる子がいます。

そんなときは我々医師が共に検査室に入り、語り掛けることで多くの子は落ち着きを取り戻します。
検査中に気をそらすディストラクションという行為をすることで不要な鎮静薬の使用を防ぐ医療的なメリットもあり、二回目以降は一人でできるようになる。
成長を実感する嬉しい瞬間です。

子ども好きほど携わるのが辛いのでは?と思われがちな小児医療ですが
好きだからこそ、より良いものを求め、新しい技術と文化を作っていける
CLSの存在はまさにそんな想いが形となった例に思います

病院での処置や治療、検査の多くは痛くて辛い
しかしながらそれらの必要性を知り、受け入れ、立ち向かい
病院での経験を負のものだけにさせない手伝いをして下さるCLSの皆さま

日本での普及を切に願います

ご興味あるからはこちらへ↓
http://childlifespecialist.jp/

Text by : コトー

都内総合病院に勤める小児科医、時々旅人

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