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『次男坊、病院に行くの巻』:フィンランド子育てエアライン006

[連載]
フィンランド子育てエアライン006

モイ!

前回の記事を書いてから、次男(3ヶ月半)が病気してバタバタと2週間が経ちました。

今回はフィンランドに来たばかりでまだ初々しかった頃の思い出話をしようと思っていましたが、そんな甘酸っぱい気持ちに浸れなかったので、「次男坊、病気に行くの巻」をお届けします。そして口調も独白調に変えます。

うちには2才1ヶ月の食いしん坊の長男と、3ヶ月半のキョロ目の次男がいる。

まず、金曜の夜に次男の様子がおかしくなった。
ぐずってなかなか寝つけない。
寝かせては起きるを繰り返すので、抱っこして部屋中ウロウロ歩きまわった。
そして咳が出始めた。ちょっとコホコホするようなのでなくて、顔を真っ赤にしてゲホゲホからカハカハ、これ以上何も出ません!というくらいまで辛そうな咳。

この咳には覚えがある。
その2~3週間前に私が風邪ひいたとき。
夜、特に咳がひどくて。
まともに寝られないくらい2~3時間おきにゲホゲホが止まらなかった。
寝室が乾燥しているのかと思って居間のソファーに横になったりしてた。

あのときの病原菌が移って次男坊の中で潜んでたんかな…

次男は土曜の夜も同じように寝付けなくて、
日曜には熱が出た。
午前中37.5℃くらいで、昼間に38℃を超えた。
そして夕方に父ちゃん(旦那)がいよいよ、病院行くか、と言った。

平日なら近所のヘルスセンターに行くのだけど、日曜なのでポルヴォーの中央病院の救急外来へ行くことに。車で10分。
その間、長男はおばあちゃんが預かってくれるとのこと。
すぐに出かける準備をして、ちょっと診察に行ってくる、という気軽さで家を出た。

夜の7時前だった。
病院の待合室にはやや年齢層の高い来院客が7、8組いた。
みんな番号札を持って、ピンポン、という音とともに赤い文字で番号と受診室の番号が示されるシンプルな電光掲示板を見つめていた。

私たちも番号札を取って順番を待った。
フィンランドの病院には、日本の病院のような独特な消毒薬の匂いはない。
ほどなくして受付へ。
受付の看護師さんは、まず次男の保険証を確認。カードについてるバーコードをピッと読むと、コンピュータに個人情報が呼び出される。

フィンランド人はみんな個人識別番号を持っている。
それは生年月日を示す前半の6ケタの数字と、後半のランダムな4~5ケタの英数字からなる。銀行の窓口でも、郵便局で荷物を受け取るときも、この番号を聞かれる。
滞在許可のある外国人の私もこの番号を持っている。

受付で次男の状況を手短に話すと、すぐに隣の個室へ通された。
ベッドと椅子と簡易な検査用のセットが置かれた3畳くらいの部屋だった。
病室の壁にはアルコールの消毒液と、ゴム手袋SMLサイズがそれぞれ箱入りで設置されている。

最初に会った看護師さんは、外来受付専門のようで、私たちを担当する別の看護師さんにバトンタッチすると隣の部屋に戻っていった。
担当の看護師さんはまだ若く、いまドクター呼んだから、そのうち来るから待っててね、とのこと。

部屋の照明が眩しく目に障るので、電気を消した薄暗い個室でじっと医者を待つ私たち。
こういう時、日本ならこんな個室は与えられないだろうな、とか考えながら。
次男坊は起きているのか寝ているのか、静かにしている。

お医者さんがやってきて、これまでの経緯を聴取したり、簡単に次男の診察をした後、「ポルヴォーの病院には2年前から夜間休日対応できる小児科が無いので、別の病院に行くように。連絡しといたから」とのこと。
場所を確認すると、70kmも先の町。

え、今からですか?

こういう時、フィンランドと日本の距離感覚の違いを感じる。
70km、別にそんなに遠くないんだよね。車で1時間くらいだし。

もう夜8時近かったので、長男のばあちゃん家お泊りが決定し、着替えもおむつも持たせなかったことが気にかかった。しまった。甘かったな。

車は父ちゃんが運転し、2日間寝不足だった私はわずかな仮眠をとらせてもらった。
到着した慣れない町の病院は巨大で、さらに増築工事中で駐車場も新しかった。
受付で状況を伝えると、一直線に小児科の医師の居る診察室へ。

ここではお医者さんと看護師さんがタッグを組んでいて、2人の相性の良さを感じさせる明るくテキパキした雰囲気で、手際よく診察を済ませると、その場で薬と処方箋を出してくれて、私たち両親が吐露する不安にまで優しく耳を傾けてくれた。

次の日(月曜日)も、時間は何時でもいいので今度はポルヴォーの小児科へ行きなはれ、とのこと。

フィンランドでは子どもは18歳まで診療費が無料。
それでなくても支払いの必要があれば後日家に請求書が送られてくるシステムなので、受付にはレジがなくて、診察が終わったらそそくさと病院を後にするのみ。

気持ちのいい診察だった。遠くまで来てよかった。
なんか次男の病気がもう治っちゃったような気さえした。
家に着いたら日が変わっていた。

月曜日は昼にポルヴォーの病院に行った。
総合受付は通さず、直接小児科へ。
小児科はリフォーム直後らしく、壁も床もドアもサインも、従業員の雰囲気も、
すべてがピカピカキラキラしていた。

廊下の奥の方に看護師さんが座るパソコンの並んだエリアがあって、そこで挨拶すると、私たちに担当の看護師さんが付いて、ここでも個室が与えられた。
今回の個室はトイレ・シャワーにテレビとゲームまで付いている、入院ができそうな部屋。

基本的に、個室に入れられて、そこに看護師さんやお医者さんや、ラボラトリーから血液採取しにくる人(なんていうのかな、研究員?)が入れ替わり立ち代りやってくるシステムらしい。

まず体重を測り、血圧を測り、血液を採取し、医者の診察を受け、
授乳前と後の体重の変化を観察し、必要なら薬も摂取し、うんちをしたらそれもチェック。
血液検査の結果を待って医者の判断を受け、病院に残って経過観察するなり帰宅するなり。

人が入れ替わり立ち代りやってくるのだけど、その間の待ち時間が長い。
ゆったりしている、とも言える。
でも言い方を代えると、いつ帰れるのか分からない。
むしろ帰りたい時間があるならそれを伝えないと、永遠にこの部屋に閉じ込められそうな気さえしてくる。
終わりの見えない待ち時間に、じわじわと疲れが溜まってくる。

この日は長男の迎えの時間があるので!と伝えて3時半には帰らせてもらえた。
よかった。脱出した。

それから、今日までにさらに3回、同じように病院に行った。
毎回同じ検査をすることで、経過を観察するらしい。
今週初めには悪夢のような嘔吐があって驚いたけど、
次男の検査結果は日に日に良くなっている。
笑顔も見られるようになったし、枯れていた声も出るようになった。咳も減った。

来週はネウボラでの検診があるので、病院とはその前後に電話しよう、それまでに何かあればすぐ電話して。ということで一旦落ち着いた。(のか?)

それにしても、病院ではわからない単語が多くて。
それどういう意味?と聞いて、英語で教えてもらっても何のことか分からん。
インフェクションとバクテリアの違いがよくわからない。
頻繁に Tulehdus の数値が悪いと言われた。家に帰って調べたら炎症のことだった。

病院に行くたびに薬が増えた。
プラスチックの筒状の装置に設置するスプレー状のものから、鼻に差す液体の薬、甘い味の飲み薬、ミルクなどに混ぜて飲ませる粉状の薬。
何の薬なのか、前に出たのとどう違うのか、家に帰って調べた。

3ヶ月半、母乳しか飲んでいなかったのに、いきなり異物を与えられまくる次男。
痛々しい。
今週初めの嘔吐はムリに飲ませている薬が原因なんじゃないかとか、思っちゃうわ。
でもお医者さんに不信感を抱いてしまうのも辛いわ。
誰かを信じることで得られる強さに頼りたいわ。

次男に意識が半分持って行かれている2週間、

長男は保育園からもらってきたらしいウイルスが原因で下痢っぽいのが続いてて、
まあしかしありがたいことに元気で、
一緒に遊ぼうと言って、私がパソコンの前に座るのを許してくれない。

GW前に校了したいお客さんのDM作りの仕事の修正依頼が連日あって、
たまたま130人の子どもたち用に寿司を巻く日や、
たまたま日本語補修校に行く日や、
たまたま買い付けの仕事も重なって、

そんな中、
メーデーのドーナツを食べ、親戚を訪問し、
次男のお食い初めを済ませ、
ベランダでは鯉のぼりも泳いでいる。

あれよあれよと走り回っている間に、
小さなかわいい春の花が一斉に顔を出してた。

白鳥も飛来し始めた春のフィンランド。
これから外で過ごしやすくなる。

ではまた、みなさまお元気で。
ナハダーン!

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〈訂正〉
「フィンランドでは子どもは18歳まで診療費が無料。」と書きましたが、
一部訂正します。
ヘルスセンター(保健センター)での受診は無料ですが、
病院の外来診療は有料でした。
通った分だけの請求書が次々と送られてきています…
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Text by : Haruka

2012年フィンランドに8ヶ月間留学し、2015年に移住
2児の子育て、デザイン、写真、買い付け、ガイド、国際交流のお手伝いなど
できることは何でもしまっせ

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