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DJ NOAH VADER:My Music Life 004

My Music Life 004

皆さん、こんにちは。
ライス兄弟の次男、ハンバーグには絶対にケチャップをかけない派の方のノアです。
兄はこれでもかっていうくらいケチャップをかけるんですが、その度にドン引きしています。お前はハンバーグを食べたいのかケチャップを食べたいのかどっちやねん、的な顔で。
もっと素材の味を味わっても良いのに。

さて、前回に引き続き「NOAHがダークサイドに堕ちるまで」 の第2話をお届けいたします。 今回は前回から4、5年後、中学生になったノアがロックと出会うお話。

というわけで、その時出会ったアーティストが今回のDJ NOAH VADER’s recommend!!

Zebrahead – “Save Your Breath”

ロックシーンに明るい方ならご存知であろう、それなりに知名度の高いバンド。ちょっと前に日本の、これもおそらく皆さんご存知MAN WITH A MISSONとコラボシングルを出して、一緒にツアーとかも行ったりしているみたいですね。
今年でデビュー23周年を迎えるこのバンドは、デビュー当時からラップ・ロックていうジャンルで打ち出しているんですが、曲を年代順に聞いていくと、2004年頃から境にコロッと音楽性が変わっていることが分かります。2004年以前はラップを取り入れつつも若干ポップな印象も残していましたが、それ以降はよりハードな、パンク・ロック調の音楽性となっています。

なのでファンの間では、2004年以前派か、以降派かで分かれる事もしばしば。
ちなみに僕は2007年に出会ったので俄然パンクロック派です。

この頃中学生だったノア少年の生活には、両親の共働きが理由で、1日の半分くらいの時間でヘルパーが入っていました。ヘルパーさんはほとんどが20代の兄ちゃんでした。
そんな多くの兄ちゃんヘルパーさん達から多くの事を学んだ中 学時代だったのですが、その中で一人、ロック好きのヘルパーさんがいて、その人からBon Joviを皮切りに、ロックシーンを語る上で欠かせないバンドの数々を教え込まれました。当時の僕の生活の中には、前回お話しした親父の趣味で、家ではほぼずっとモーツァルトが流れる普通の中学生男子にとってはストレスMAXの環境だったので、初めて触れるパンクの世界にグングンのめり込んでいったんですよね。

さて、ここで一旦今回のレコメン曲の解説をしておきます。パンクはハートで聞くもんだ!!という方もいると思うので、あくまでサラッと。 めっちゃ完結に言えば、「俺はダメダメ人間で自分の敵は自分だけど、それでも俺はこれで大丈夫なのさ」という感じの曲。 正直、曲のメッセージを理解するには曲中何回も出てくる”I’m a total Fuck up(俺ぁ完全にメチャクチャさ)”と”I swear that I’m okay(マジで俺大丈夫だから!)”の2つを押さえとけば良いと思います。

ただ、一ヶ所だけ引っかかる歌詞があります。 一番のサビの真ん中らへんの”everybody else is just like you”。
「他の皆んなもあんたと同じなのさ」。 うーん…。気に入らん。

なんで気に入らないかの理由は自分でも良く分かってます。それはまさに中学時代に起こった出来事がきっかけです。

私は学校にいる間も専任の介助員を派遣してもらって身体的なケアをしてもらっていました。介助員のほとんどが教員志望の青年。やる気も満々。
そんな中、中2の春学期、在任2週目の介助員の先生が、私が授業中に課題を解いている時に様子を見に来ました。皆んなより早く課題を解き終わった私を見て先生は「もう一度見直してみたら?」と促します。しかし思春期爆走中のノア少年は解答に自信満々。なかなか見直そうとしない私に対して先生が言った言葉が、

「ノアはやれば出来るのに」

…はあ?え、何あんた、来て2週間だよね?まだお互いの事よく知らないのに何俺の事理解してる気になっちゃってんの?教員志望だから生徒のことは分かってあげられるからって?でも普通、人の能力って2週間ぽっきで分かるもんなの?分からないよね?分かってたまるかよ。ピーー(以下、放送禁止用語)

結局私の答案は正解。
それ以来、よほど関係の深い相手以外からの、「俺はお前のこと理解してるぜ!☆」だったり、「ノアくんも大変だけど、皆んなも大変だから!(キャピ♡)」的な、安っぽくて中途半端な寄り添いに対して、過敏なまでに嫌悪感を抱くようになります。

人ってそんな易々と理解できるもんでもないでしょう?親しい 家族の事でさえ、知らない事がいっぱいあるはずなのに。

そりゃ、同じ境遇の人同士だったらシンパシーを感じる時もありますよ。それでも、例えば同じ障害者って立場であっても、あなたと私は別の人間、共通点の”不便を抱えてる”に関しても、どこでどう不便を抱えてるのかも違うし、生活環境も違う。歩んできた人生が全く違う。
そんな中でまだそんなに関係を築いてないうちに「同じ大変さを抱えてる~」とか言われても説得力ないでしょう。

相手がどんな想いを持って、どういうスタンスで生きてるかも理解していないうちに、相手のことを理解したつもりにならないでくださいよ。
あんたは俺じゃないし、俺もあんたじゃないもん。

健常者と障害者の間だと尚更ですよ。肢体不自由の障害者をみて「ノア君は歩けないから不便な事もあると思うけど、頑張ってるよね!」って言われた事もあります。

おそらく多くの人は励ましてくれてて、ポジティブな意味で捉えるでしょう。でも私はこれも気に入らんのです。そりゃ相手が励ましの意味で言ってる事は十分理解してて気持ちは嬉しいですよ。
でも「歩けないから」って何よ。歩けたら問題解決するの?歩くのがそんなに良いことなの?あなたは俺が歩きたいと思ってるとでも言いたいの?
しかも頑張ってるって、あんた俺の本当の姿を見てるかどうかも分からないのに、俺の頑張りをどういう立場で評価出来んの?

「じゃあもう何にも言えなくなるじゃないか!」って?そんな事はありませんよ。ただ声をかける前に相手のことを良く考えれば良いんです。

こういう事を書いてて、自分でも若干捻くれまくってるなとは思いますけど、私が言いたいのは「簡単に”一緒”になろうとするなよ」ってことです。
今自分の相談支援の仕事で、通常のコミュニティーが全く取れない人と関わらせていただく時につくづく思うんです。
相手の気持ちを汲み取る手段は、筋肉の緊張と発汗と、よほど嫌なことがある時に泣くという事ぐらい。これが好きなのかな?、これが嫌いなのかな?、と想像する事ぐらいしか出来ず、相手がどういう想いで生きてるかはおそらく一生一緒にいても1、2%分かるかどうか。
そんな中で「私は同じ障害者なので一緒です!この方の事を理解してます!」なんて口が裂けても言えません。
だって分かんないんですもん。

それでも、それで分かった”気”になるか、分からない事、違う事を素直に認めて分かろうとする努力を続けるか。そこが別れ道だと思います。

それを踏まえて最近福祉業界のブームとも言える、「分かり合おう」とか「理解し合おう」とか「みんな一緒に」とかそういうフレーズにも、私にとっては危うく思えて、懐疑心を持って見てしまうのです。
分かろうした時点で、すでにゴールに達した気になってませんか?
分かろうとする気持ちを持つ事が目的になってませんか?
例えば、海外旅行に行って観光スポットを回っただけでその国の事を理解したつもりになって「めっちゃ良かった~」とか言うのと同じ事です。観光スポットはあくまで、その国の一部でしかないじゃないですか。文化とか歴史の象徴であっても国そのものではないでしょう。

「理解しよう」と、「理解する」と、「理解しようとし続ける」 は違いますよ?
終わりなんてありませんよ。

そしてこれは福祉業界のみならず、この記事を見てくださってる方と、その周りにいる障害有る無し関係なく全ての人間との関係にも言える事です。

少々熱くなりすぎてしまいましたね。かなり持論を交えて語ったので、反対の意見を持つ方がいて当然だと思います。また、 もしムッとさせてしまった人がおられるなら申し訳ないです。でもしょうがない。立場が違うんですよ。違うから、理解する必要があるんです。

もうこのぐらいにしておきます。

そうそう、最初の方で言ってたZebraheadとMAN WITH A MISSIONのコラボシングル、もう割と有名ですが、一応貼っておきますね。
オオカミとシマウマだと完全にシマウマさん食われちゃうよぉ…、と心配になるところですが、このシマウマはなかなかタフです。激アツセッションここに爆誕。
MAN WITH A MISSIONxZebrahead – “Out Of Controll”

次回は、第3話「ノア少年、帰る家がなくなる」をお届け致し ます。乞うご期待ください。

それでは皆さん良い音楽生活を!!

Text by : ライス趙 ノア

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