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DJ NOAH VADER:My Music Life 007

My Music Life 007

皆さん、こんにちは。

ライス兄弟の、机の上は常に散らかっている方のノアです。個人的な感覚としてはそこまで散らかっているとは思えないのですが、客観的に見てそうなんでしょうね。ただ、これは散らかっている人の常套句ですが、「何がどこにあるかは大体分かってるんだ!」とだけ言っておきます。
シュレッダー買わないとなぁ…。

さて、前回で長かったノアの略歴と音楽のサーガが終わり、アンダーグラウンドと言う名のダークサイドに堕ちたわけですが、今回からは前回の予告通り、前よりももっと音楽の話をしていこうかと思います。

ていうか、思ってました。ただ前回の連載の掲載からしばらく自分のDJキャリアにとって自身の障害がどう絡んでいるのかと考え直したところ、なかなか悩むことになったので、ここで共有させていただきたいのです。

ということで、皆さんお待ちかねのNOAH VADER’s RECOMMEND!!!

Amelie Lens – In Silence

そうです。バリッバリのテクノです。
このアーティストの方は、ベルギー出身のDJで、ファンの間では”Queen of Techno”とも呼ばれるほどの人気DJなのです。しかも注目度もうなぎ登りで、ついこの間、自身のレーベル”Lenske”を立ち上げて記念すべきファーストリリースを発表しました。

去年の夏にたまたま発掘して聞き惚れるまで、テクノというジャンルに全く関心がなかった自分ですが、この曲を皮切りに自分のレパートリーにテクノを率先的に加えて、昨年11月にこのウブマグを運営するウブドべが主催したイベント「SOCiAL FUNK!」でのプレイは全てテクノで決めたくらい、私のDJに大きな影響を与えた曲なのです。

ここまで熱く語りましたが、前回のダブステップ同様、「そもそもテクノって何よ」とお思いの方に簡単にご説明しておきます。多分簡単でも無いかも。

テクノという音楽が生まれたのはシカゴという話は音楽に明るい人なら割と知っていることかもしれないのですが、実はホアン、デリック、ケビンという3人の黒人男性によって生み出されました。当時のシカゴは自動車産業が大変発達していた為、仕事を求める若者が多かったのです。その中で、70年代頃に流行していたエレクトロミュージックに感化された3人は独自に自由度の高いエレクトロサウンドを作っていこうと思い立ち、テクノというスタイルが生まれることになります。

ちなみに「テクノ」という言葉の語源ですが、テクノロジーでは無いのです。
話によると3人のうちの1人、ホアンが愛読日していた有名な社会学の本、『第三の波』の中で「テクノレベルズ(techno-rebels)」、意味を訳せば「技術に対する反逆」という言葉をえらく気に入り彼等自身の楽曲の名前にちょこちょこ使ってたのが始まりと言われています。
ただ、エレクトロっていう時点でめちゃくちゃ技術に依る音楽制作になってたと思うんですが、そこらへんは触れてはいけないんでしょうね。

ちなみにテクノの中にはさらに、アシッド・テクノ、ダーク・テクノ、ミニマル・テクノと色々分かれています。
1つ1つ解説していったらきりがないので割愛しますが、ミニマルテクノは文字通り「最低限」の音しかない感じで、物によっては「これビートと軽いウェーブかかってるだけじゃねぇかよ」というものもあったり。
ちなみに私はアシッド・ハウス派。

さて、ここら辺でもう一回レコメンドのアーティスト、Amelie Lens の話に戻っていきます。
私がこの人のことが好きなのは、もちろん私の趣味に合うアシッド系のテクノを作っているからというのはもちろんあるのですが、もう一つの理由は、不純で、この人がかなりの美人だからなのです。
私、美人には弱いのです。
だってこの人DJとしてだけでなくモデルとしても活動している人なんですもの。「そりゃ美人に見られた方が良いじゃないですか」とも思ったことがありました。

ただ、エメリー本人は過去のインタビューにてこのように言っていました。
このインタビューではエメリー本人の口から「エレクトロ・シーンにおける男女差別」という大変興味深いテーマの話が出てきます。

(以下、日本語訳 00:23から)

記者 : モデルとして写真で見てもらうか、DJとしてのステージ上の姿を見てもらうか、人から見られる時にどちらの方が良いですか?

エメリー : DJとしての方が良いですね。なぜなら、モデルだったら、メイクをされて、差し出された服を着て、彼等の望む役になりきっていく。でもDJだったら自分らしく入れるし自分の好きな事が出来るから、間違いなくDJです。

記者 : ベルギー国内、あるいは今の世界の中のエレクトロ・シーンでの女性の立場についてどう考えていますか?

エメリー : 最近はだいぶマシになっていて、沢山の女性DJが活躍しています。10年前はすごくマイナーだったので、ここ最近で良くなってきたと思います。

記者 : エレクトロ・シーンのビジネスの中で男女間の差別を感じたことはありますか?

エメリー : いくつかのイベントで「女性DJ限定」というものがあったんです。主催側はそこに何度も私をブッキングしようとしてたこともありました。たまたま女性DJだけだった時もありますが、フライヤーに「女性のみ」と書いてたら嫌ですね。だって女性だからとか、そうじゃないとかではなくて、「音楽」が重要だから。なので未だにポジティブとネガティブの両方の差別があると思います。

以上。

いやー、申し訳ない。美人という理由も好きになった一部の理由だった事に恥ずかしさを覚えます。
ただ、この話は同じマイノリティの方で人前に立つ活動をされている方を始め、多くの人が感じていることではないでしょうか?

私もその1人です。
前回の連載でも書いたように、もちろん自分のマイノリティという立場は1つのアイデンディティとして誇りに思っていて、今のDJの仕事も「車イスと人工呼吸器つけながらDJやってるやつがいるんだってよ」と興味を持ってもらうことでいただく事も多くあります。また、本職の相談員の仕事の方も、同じ障害を持つ者という立場の共通性を生かして、より利用者さんの気持ちに共感をして、文字通り一緒に考えることが出来ているので、仕事や活動の面でもマイノリティというアイデンティティは大きな存在感を発揮しています。

つまり、セルフプロデュースにおいて大きな強みとなっているんですよね。

ただ、たまにふと考えるのは、じゃあ今突然障害や病気が無くなったら、他人から見る私の価値は無くなってしまうのか?、ということです。

「障害があるから」呼んでもらえているのか。
「もともと呼びたかったけどたまたま障害を持ってた」ということなのか。

ここに大きな差を感じるのです。

前述の通り、自分のアイデンティティに興味を持ってもらい、お声をかけてもらうのはすごくありがたいのですし、肯定的に捉えているのですが、それだけの理由だと、言い方はものすごく悪くなりますが、前世紀にあった見世物小屋の感覚と似たようなものにもなってしまう恐れもあると思うのです。

じゃあどうするか。私が考えた答えは、シンプルで当たり前なものです。
“障害を差し引いても”一流になれば良い。ただそれだけ。

これ自分で書いてて新鮮ですね。普段世の中で障害はマイナス要素として見られているんですが、この書き方はアドバンテージとして捉えていることになってますね。

もちろん、障害というアイデンティティは利用しますよ。何度も言うように強みですもの。

ただ、黒人同士でニガーと言い合っても、他の人種から言われたらぶっ飛ばすように、頭髪が少ない人がハゲネタで自虐しても、他人から言われたらムスッとするように、障害という要素を使っていいのは自分だけ。他人から障害があるから〜なんて言われたくはない。

なので、努力をするのです。もともとの力が60だとすると、残りの40を障害に頼るのではない。もともとの力がすでに100になって、その上にさらに障害という特殊スキルで強化する。そういう感覚。

世のマイノリティの人の皆さん、自分の立場を利用しても、頼ってはいけません。

まあ、これだけ偉そうに言った自分自身がどうなんだと言われたら、今努力中ですと答えるしかないのが情けないところなんですがね。
でも最初は心意気だよね!って言い訳しておきます。

というわけで、そんな心意気を持ったライス兄弟が来週水曜日、京都にある日本屈指のクラブにて主催イベントを開催します。
数々の凄腕DJとアーティストによるアートを前面に押し出した、非日常空間。

なんと、超有名漫画家にも初のライブペインターとしてご参加していただけます。
ウブドべの代表、ユークさんも東京から参戦。色々ヤバいです。

関西圏の方は是非会場へ。
それ以外の人、「遠くて行けないよぉ〜」という方は、当日おそらく京都のクラブイベントでは初ではないかという試み、ライブストリーミング配信を実施予定なので、是非、画面を通して会場の熱気を感じてください。

ちなみにこのイベントには「障害」「車イス」「分け隔て」という言葉は一切ありません。
あるのは、ラブ&ピースと、音楽とアート、そして合理的配慮。
これのみです。

乞うご期待あれ。

てな具合で、思いっきり告知をしてしまいました。ごめんなさい。

最後に締めの一曲。もう一回テクノに戻ってきます。 NOAH VADER’s RECOMMEND Part 2!!!

Farrago & Amelie Lens

この曲が冒頭のアーティスト紹介のところで書いた、エメリー自身のレーベルからのファーストリリース楽曲です。ファーストからぶっち切ってます。
絶対今後も沢山の素晴らしいテクノを発表していってくれると思うので、皆さんもご興味のある方は注視しておいてください。[LENSKE]というレーベルです。メモメモ…。

それでは皆さん、良い音楽生活を!

Text by : ライス趙 ノア