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『移ミン、難ミン、地球ミン(後編)』:フィンランド子育てエアライン009

[連載] フィンランド子育てエアライン009

モイ!

お久しぶりです。

フィンランドは1年でも最も大事なイベント、夏至祭を終え、本格的に夏休みが始まりました。
日の長さはこれからまた短くなっていくので、ちょっと寂しくもあります。

前回まで難民の友だちの話をしていましたが、
この後編は、観念的な話で締めくくりたいと思います。

では、どうぞ。

会ったことのない人と会うとき、行ったことのない場所に行くとき、
私はできるかぎり「素」の状態でありたいと思っている。
できるかぎり先入観を持たず、できるかぎりそのままの感覚で、
本質を感じ取りたいと思っている。

自分を開放する、という感覚に似ている。

自分を良く見せたいとか、人と比べてどうだとか、
そんな思いがよぎるだけで「素」ではいられなくなるので、
なかなか難しいことではある。
うまくいくこともあれば、失敗してしまうこともある。

「移民のお母さんと友だちになろう!プロジェクト」で、
移民とフィンランド人の間に上下関係はない。
移民は、言葉がうまく話せなくて、相手に拙い印象を与えるかもしれないけど、
それはその人の本質ではない。

難民と聞くだけで、
海上を漂う小舟に肩を寄せ合う人々のイメージが浮かぶかもしれない。
移民と聞くだけで、
路上でたむろってたばこを吹かしている集団のイメージが浮かぶかもしれない。
でもそこに「個人」はない。

個人と向き合いたい。
そのときは対等でありたい。
互いに敬意をはらっていたい。

人と自分、または人と人を比べて、優劣、幸不幸、良し悪し、
そんな判断はしたくない。
娘を殺してしまった移民のお父さんと、母国で戦争が終わらない難民のお母さん、
どちらが幸か不幸かなんて比べようがない。

目の前の人がどのような人物なのか、その本質に触れたい。

そこには、その人がこれまでどのように生きてきたのかが、
色濃く現れているだろう。
世の中をどのように見ているのか、その視点は十人十色。
1つの地球の上に、人の数だけ違う世界がある。

となりにいる人は、自分とは育ってきた環境が違う。
となりにいる人は、自分とは違うものを見ている。

となりにいる人の目で、世の中を見てみたらどうだろう。
新しい気づき、新しい感覚、新しい価値観に溢れているだろう。
そこは別の世界。

その別の世界を体験したとき、それは自分の中に軌跡を残す。
その軌跡が重なり絡み合って、自分というものがある。

人に会えば会うほど、世界は広がっていく。

人から人へ
出会いという旅を繰り返すことで、
自分ができあがっていく。

想像力が大事。
この世界に国境はない。

そんなことを考えていると、世界が輝いて見える。
生きるということはすばらしいよ。

では、また!
ナハダーン!

Text by : Haruka

2012年フィンランドに8ヶ月間留学し、2015年に移住
2児の子育て、デザイン、写真、買い付け、ガイド、国際交流のお手伝いなど
できることは何でもしまっせ

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