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『民族大移動』:ファンタジーガールのワンダーランド018

[連載] ファンタジーガールのワンダーランド018

今日は、ファンタジーガールとコロボックルの社会参加編ですw

既に言うまでもないと思われますが、私たちは、ひっじょーーーに、オモロで、不思議な一族であります❤︎車イスユーザーのママとファンタジーガールちゃんの親子丼と言う珍メニューは、味も見た目も衝撃であること間違いなし!!!w

そんな、我々、ワンダーランド一族の社会参加は、一筋縄ではございませんw

実は、2018年の今年、我が家は激変の年を迎えて、生活が大きく変わりました。

その変化とは、Kaoちゃんが小学生になったこと。
そして、それに伴い、我が家が引越しをしたと言うことです。


教科書を片手に二宮金次郎さんのよう…っと、思ったらプリキュア大図鑑w

遡る事、4年前。保育園を決める時、狭き門ではありましたが、私はバリアフリーの保育園を希望し、有難くも入園を叶えていただきました。理由は、車イスユーザーの私が母親としてKaoちゃんをサポートしていくためには、バリアフリーの環境でなければ不十分になってしまうためです。
保育園は、私たち親子にとってはじめての社会参加と言うべき貴重な体験となりました。
Kaoちゃんの状況から3年間は、お昼の給食までの保育ではありましたが、優しく熱心な先生がたやお友達に囲まれながら、Kaoちゃんは大きく成長し、4年間の保育園生活を無事に送ることができました。不器用な私たち親子の姿をあたたかく見守ってくださった保育園の皆様には、本当に感謝をしています。


入園式でドルフィンのように床を泳ぎ回っていたKaoちゃんが、卒園式には立派に整列して卒園証書を受け取っていた姿を見た時には、感動の坩堝!!

さて。
話は元へもどります、2017年、保育園年長さんとなり、幸せな保育園生活へのピリオドが近づくと、小学校入学が見えて来ました。小学校は、また1から、すべての環境を見直さなければなりません。

通常、日本の現在の義務教育制度では、選択学区制を用いている地域が多く、自分の居住地に応じて定められた学区域の小学校の中から、通うべき学校を選択して入学することになります。特別な理由(かなり特殊なケース)を除き、基本的には、学区域の小学校以外に入学は認められていません。

Kaoちゃんの場合には、ASDであるために、小学校への入学準備期間に至った段階で、一般の公立小学校の中に設立されている、特別支援学級(固定)へ通うことが適切であると正式に判定されていました。保育園では、バリアフリーの小学校を希望する事ができましたが、小学校については必然的に学区域内の小学校のうち、固定の特別支援学級が存在している小学校に通うこととなります。

しかし、ここで再び、大きく立ちはだかる問題。わたくし、コロボックルがピー・テー・エーとして、車イスであると言うことですw

日本の小学校は、災害時の避難場所として指定されています。しかし、実は殆どの小学校の校舎が古く、バリアだらけです。まだまだ、すべての人に優しい環境とは言えないのです。
近年、部分的にはスロープを取り付けたり、改築をしている小学校も多くなりました。それでも、基本的に校舎には、エレベーターがなく、段差もあります。

残念ながら、私たちが暮らしていた場所の学区は、どこも校舎が古く、車イスのママとしては、バリア面で、かなり近寄り難い環境状態にありました。

Kaoちゃんの場合は、今現在もまだ、学校へ、1人で通学することができません。交通ルールは、かなり覚えてはいるものの、通学中の様々な刺激によってパニックを起こしたり、何かに気を取られ、没頭し出した時には想ってもみないような行動に出てしまうことがあります。簡単に言うと、蝶々を追いかけて、道路に飛び出してしまう可能性も、ゼロではないと言うことです。そのため、少なくとも低学年の間は、送り迎えが必要になり、それはコロボックルの役目なのです。

特別支援学級を持っている学区内の小学校は、自宅から車で15分。コロボックルとKaoちゃんにとっては、徒歩での通学が、なかなか厳しい距離。
コロボックルは、車が運転できますし、保育園へは、毎日、車で送迎をしていました。
ちなみに、車には屋根に自動で車イスを収納するスペシャルハイテク装置がついています。


パン工場の帽子をかぶったような車、我が家のバタ子号です!

運転は手動式改造で、アクセル、ブレーキは、すべて、手で行います。このバタ子に乗ることで、私は車を自分で運転し、車イスをトランクへ積み入れする介助者を同行せずとも、装置が操作できる範囲が確保できる広い駐車場(身障者専用駐車場)さえあれば、Kaoちゃんと2人でも、どこへでも出かけることができます。身障者専用駐車場は、最近、妊婦さんも利用できる『思いやり駐車場』になりつつあります。しかし、私のように車イスを利用したり、車には専用装置を付けている人は、駐車された車と車の車間が狭いと、降りたてないため、空きがない時は、店舗の利用自体を諦めることもあります。思いやりスペースはたくさん増えてほしいですが、車イスで利用できる駐車場の確保にも目を向けていただけたら嬉しいです。

話が外れましたが…。
保育園はピカピカのバリアフリーの保育園でしたし、車で行った先、私が車イスで車から降り立つ駐車スペースをなんとか確保できる環境にありました。
一方、小学校へは、徒歩通学が基本です。特別な事情を考慮していただいて車で通学したとしても、小学校のセキュリティ上、駐車場の門が閉まっているのが基本です。門が閉まっている訳ですから、車から降りて門を開けて、再び車に乗り込み運転して中へ入る訳です。路上で装置を操作することは安全上、不可能。1度、車から降りて門を開けることは、困難なのです。

それでも、様々な工夫をすればクリア出来たことではあります。適切な機関と適切に話し合い、合理的配慮へのご理解をいただく方法があります。
毎日、門の前で学校に電話をして、どなたかに門を開けていただき、帰りは閉めていただくとか。もちろん、相談をして理解をしていただければ、学校側は、きっと真摯に対応をしてくださると思います。真心をいただいていることや心を尽くしてくださることには感謝以外にありません。しかし、私たちにとっては、その行為が一度きりのことではなく、6年間の毎日に及ぶかも知れないことです。とても、ハードルが高い。

又、6年間という時間の中で、参観日や面談にも思う様には参加できない可能性があります。学校側と連携を取るべき場面で、思うようにいかないこと場面が生じることも。

そして、私は車イスであると言うことだけではなく、骨形成不全症と言う難病と共に生きています。骨が脆弱な難病で、幼少期は60回以上の骨折を体験しました。無理をすることはできません。頑張れば出来てしまうことも、長年の積み重ねの中では、大きな負担となる場合があり、いつ、如何なる時、どんな体調の変化が訪れるのかはわからないことです。万一、骨折をすれば、半年くらいは動けなくなります。長距離の送迎や身体を酷使しての生活を長く続けていくリスクは計り知れませんでした。

このような場面で、次に考えられるのは、福祉面からのアプローチです。
現段階ではKaoちゃん自身に同行支援を受けられる資格認定はありません。同行支援のヘルパー制度を利用するためには、あくまでも、母親である私の支援からの条件が必要であります。
強く希望して、相談すれば、何らかの形で福祉制度的な、お力を貸して頂くことが可能かと思います。
しかし、現在、私は家事・同行支援のヘルパー制度を日常生活で全く利用していません。そして、その生活が長く営まれてきました。

それもひとつには、自分たちが望んで選んできた『生き方』なのです。私は、自分の持ち得る力の全てをKaoちゃんと生きる時間や空間に注いで行く生き方が、本当に幸せで、楽しいのです。もちろん、ヘルパー制度を利用することに否定的だったり、ヘルパーさんがいては、それが出来ないという事だとは思っていません。ただ、コミュニケーションに独自性のあるKaoちゃんと私のコロボックル的な激動の日々にとっては、今の生き方、やり方、生活スタンスの形が最も自然体で、心地良くいられると言うことを感じて来た結果としての選択です。だから、その生活のスタンスは、これからも、『もうどうにもならない!』という事態に直面しない限り、極力、維持して行きたいという想いがあります。
長く続いてきた生活スタンスを大切にしたいと考えることや、自分の生き方を自分で選択することも、護られるべき『人権』のひとつではないかと思っています。
そのため、私たちは、可能な限り、これまでの生活を維持する方法を最優先に考えたいと願っていました。

願いはシンプルです。
『朝起きて、いつものように1日がはじまる。コロボックルとKaoちゃんは、手を繋いで学校へ行く。Kaoちゃんは笑顔で学校へ行き、帰りはコロボックルと手を繋いで帰る。』

それが私たちの望みだった。
しかし、その為には、特別支援学級のあるバリアフリーの小学校が徒歩ゾーンにある必要があります。それが叶わないのが現実です。

今回、学校選定においては、バリア面だけのことではなく、Kaoちゃんが主体となる学校生活の実現についても深く考えさせられました。
特別支援学級もそれぞれの地域や学校により、みんな個性があり、雰囲気も教育方針も様々であることを学校見学等を通して、はじめて知りました。
それぞれの学級が個性を発揮しながら、学級を作っています。『Kaoちゃん自身が、どんな雰囲気のどんな教育方針の学び舎に合っているのだろうか?』ということも、とても重要なことだと、私は考えています。だから、本当は、自分の行きたい学校を自分で選べることが理想的です。しかし、学区制度の壁は、そういったことにも、大きく立ちはだかります。特別支援学級の場合、地域性で学級を選択できる地域も多いようですが、人口が多い私たちの街では 定員の問題があり、特別支援学級も原則は選択学区です。

以上のような複雑な理由から、小学校選定について、家族みんな、頭を抱えて悩みに悩み抜いた1年。小学校決定のタイムリミットぎりぎりまで、悩み抜いた末、私たちが最終的に下した判断。

それは、より良い生活のための『引越し』。つまり、民族大移動だ(笑)我々、遊牧民の定めである。

私が心置き無く足を運ぶことが出来る新し目のバリアフリー小学校で、かつ、固定の特別支援学級が存在し、安全に徒歩で送迎が出来る距離に位置する住まいを探す。そこへ引っ越せば、学区制度の壁は越えられるのです!!

とは言え、住み慣れた土地を離れ、劇近くにあった実家からも距離が離れます。Kaoちゃんにとっては、大好きな保育園を卒園し、小学校へ行くと同時に住まいまで変わることは、かなりの負担。又、その住宅そのものも、ある程度はバリアフリーであり、車イスで利用できる駐車場の確保ができなければ生活が、全く成り立ちません。とても、勇気の必要な決断でした。すべての条件が整う場所、又、経済的にも生活が可能な場所を探すことは、至難を極めることです。特に物件探しは、当初、絶望的…。

しかし、生き方を選ばなければ、生きてはいけない。それが、私たち一家の定めであります。
普通ならば、身の丈にあった生活をすることに収まる事が当たり前で、小学校のために引っ越しまでは考えないかも知れません。しかし、実を言うと、私自身もずっと両親にそうやって育てられて来ました。父は、私と同じ骨形成不全症で車イスであり、私よりも重度でしたが、3人の子供の父親として立派に生きて来てくれました。父は、小学校、中学校、高校、私を毎日、車で学校へ送迎してくれた。母も父を支え続けていました。その中で、両親は、私たち子供達の学校のために引っ越しもしました。私たちにとって、ありのままに生きること、ありのままに社会参加を目指すことは、昔から、そういう事だったのです。これは、私たち一家の長年の歴史w
その両親の背中をコロボックルは、ずっと見て来ました。気付けば、私もまた、同じように我が子と歩んでいます。

だいたい、身の丈にあった生活で妥協したら、コロボックル125cmしかないから、小さいんですよ、スケールが!(笑)

さぁ…いざ!民族大移動大作戦!!!←久々に出たぞ!作戦だい!w

車イスで生活できる住宅は、本当に数が少ない。更に住宅はクリアできても、駐車場は一般の駐車場しか、ほとんどありません。しかも、徒歩ゾーンにバリアフリー小学校+Kaoちゃんが楽しく過ごせる特別支援学級……ない!ない!……。血眼で探しましたが…ないんです!

やはり、難しいのか…..と、ほとほと弱り切って迎えた年明け、2018年1月。すべてをクリアする物件、奇跡の立地に出会ってしまったのです!!しかも、嬉しいことに実家や妹の家にも車でそう遠くはないのです。

ここしかない!!!!

と思った、2018年。思い込みと言う名の運命を信じて、民族大移動は現実となったw

Kaoちゃんにとって引越しはトラウマの元になる可能性があります。ある日、突然、男性の引越し業者さんがぞろぞろ来て、家中のものを引きずり出された!!というイメージはNG。
そのため、よくよく話をしてから、1ヶ月ほどかけて、自分のオモチャや宝物を少しずつ、自分の手で、運ばせました。

そして、以前の家をあえて『ダーティーオールドハウス』と名付け、新居を『ニューパレス』と呼ばせるようにしました(笑)オモチャを運びながら、古い場所から、新しい自分の城を自分の手で築いてもらうイメージ造りをする為です。

それが見事、成功!Kaoちゃんは、ニューパレスへ移ることを誇らしく感じてくれていました。
そして、ある程度、自分たちで運んで納得したところで、最後は引越し業者さんに依頼。

本当に大変な大移動となりましたが、私たちの新しい生活が今年4月、スタート。7月の現在、Kaoちゃんは小学校で良いお友達と先生方に恵まれ、「私は算数と英語が大好き!国語もできちゃうわよ❤︎」と言いながら、楽しく学んでいます。

私も安心しました。
学校は、家の道路向かいの目の前で、何かの時には、すぐに訪問できます。万一の災害時もKaoちゃんに直ぐに会えるはずです。

私たちのような一家が社会参加を目指し、さらに、ありのままの幸せを求めて自分らしく生活するためには、たくさんの壁を越えてゆかなければなりません。今回の件では、保育園や医療機関、療育支援をしてくださっている先生方にも、本当に励ましていただき、一緒に悩んでくださったことが、大きな力となりました。何と優しい皆さんに恵まれてきたことか。私たちのような個性溢れる人々の多様な生き方が尊重され、自ら選択していける豊かな日本社会を目指していきたいですね。
私たちは、何も特別なことはしていませんが、Kaoちゃんと楽しく手を繋ぎながら、生きる姿を通して、そう言うメッセージを世界に投げかけていける存在であれたら幸せです。そう思うと、再び生きていることへの感謝が湧いてきます。

ホント言うと、私は、1人では、こんなに強くはなれない。娘を想う『執念』としか、言いようのない何かに、ずっと突き動かされています。


最近、座高は抜かれた…(笑)

Text by : Aki
姉妹デュオグループSAKURANBOで活動中のシンガーソングライター
ワンダーランドで就業中の車イスUserママ(先天性骨形成不全症)
https://www.facebook.com/sakuranbo.music.info/

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