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DJ NOAH VADER:My Music Life 012

My Music Life 012

皆さん、こんにちは。

ライス兄弟の弟、季節感は人一倍気にする方のノアです。

なんて言うんでしょうか、「今この時を逃したら、一年待たないといけない!」とか、「夏は夏なりの過ごし方のメソッドがあるだろう!」と思ってしまうんですよ。
その、季節感にメリハリをつけたがる所為なのかどうかは分かりませんが、第1回の記事でチラッと書いたように、夏はアロハシャツ、冬は革ジャンにシベリア帽スタイル。それでここ5年は貫いてます。

ちなみにDJの時でも季節感や時期に敏感になっておく事は非常に大事なんですよね。
なぜかと言えば簡単です。
夏のフェスでクリスマスソング流したらもう季節外れも良いところ。どんなに良い曲でも違和感ありまくり。
自分の場合も例外なく、この間もEarth, Wind & FireのSeptemberを8月のイベントで流すかどうかを考えた結果、「たった1ヶ月であっても、まだセプテンバーではない!!」と頑固として流さなかった逸話があるくらい。

あ、ちなみにこの曲です。良い曲なのは間違いない。ただ今年は9月のギグがないからまた来年。

また、往年の名曲はまだしも、ついこの間まで流行ってた曲を流す事も極力避けるようにしています。
何故なら、分かりやすい分安易に選んでる感じが凄く出て、「こいつ取り敢えずこれ流しときゃ良いと思ってるな。最新のシーンを探求する努力を怠っているな」と思われるから。
実際にクラブとか行くと中堅からベテランDJの間にはこういう暗黙の了解が色々あるんですよね。
まあ、これだけ言っておいても、やっぱり分かりやすい曲(ヒットチャートとか)でもないと盛り上がらんお客さん達だなと判断したら、葛藤を殺してちょっと前のヒット曲でも流すんですけどね。

さて、季節感や時期の話だけでここまでダラダラ書いてしまいました。

それにはちゃんと理由があるのですよ。

今は夏の終わりですよね。夏が終わるんですよね。じゃあ夏の曲を紹介するのは今しかないって事ですよね。(異論は許さん)

というわけでいってみましよう!
今回のNOAH VADER’s RECOMMEND!!!

山下達郎 – “Sparkle”

いやー清々しい。そして最高のグルーヴ。

日本に住む人なら必ず一度は聴いたことのあるアーティスト、山下達郎。

クリスマスの定番”クリスマス・イブ”だったり、結婚式の定番(なのかな?)である”Your Eyes”だったり、有名な曲も多く、CMやドラマ、映画とのタイアップも多いので、曲名をズバリ知らずとも、「あ、この声、この歌い方、聴いたことある!」って方も多いのではないでしょうか?

ちなみに僕と山下達郎の出会いは、髪型がきっかけです。
語るよりも見てもらう方が早いですね。

山下達郎

ノア

そこはかとなく漂うシンクロ感。

さて、余談はさておき、音楽の話をしましょうか。

彼の音楽は、ジャンルで言うとポップの中の一種である「シティ・ポップ」と捉えられるのだそうです。
シティ・ポップというのは、正式な音楽用語ではなく、いわゆる俗語なんです。70年代から生まれ出した日本のポップミュージック、特にソフトロックのような、柔軟で新しいポップミュージックを、それまで流行っていた歌謡曲やフォークと比較して、「こっちの方がナウい=都会的」ということで、シティポップと言われるようになったとか。
こうしたジャンルを本当の始めの70年代から始めて今に至り、現在ではその道の大御所となっているアーティストです。

ちなみに、彼の妻は同じく超有名なシンガーソングライター、竹内まりや。皆さんご存知クリスマスの時期に流れるケンタッキーのCMの曲を歌ってる人。「毎日がスペッシャール」ってやつ。

また、彼の音楽の形成には連載の第3回でご紹介したビーチボーイズの音楽性も影響を与えてると言います。
そう言われてみれば、音の使い方は違えど、音楽全体に広がる爽やかでありながらどこかメロウな雰囲気が似てますね。
音楽への影響云々を除いても、彼はビーチボーイズの大ファンだそうです。
ここでも僕と山下達郎の共通点が。

もっと詳しく特徴を述べていきましょう。
まず彼は巷のファンや関係者から「音の職人」と称されるほど、音楽作りの熱がすごいということ。なんてったってレコーディングの時は、ギターとボーカルはもちろん、パーカッションも、パソコンの打ち込みも、編曲も全部1人でやってしまうし、極め付けのコーラスなんか自分の声を多重録音して使う「1人アカペラ」なんて技も使ってしまうのです。エンヤかよ。
とことん一匹オオカミで、自分の作品は自分の子どもと言わんばかりの、愛情の注ぎっぷりなんでしょうね。

また、ギターの演奏法については、今回ご紹介した”Sparkle”のイントロ部分に象徴される、ギターカッティングという技法を、他にも多くの曲で用いています。
そしてこれが僕の1番テンションの上がる箇所。爽やかさを底上げしてると思いませんか?
ギターがリズムを刻む度に、夏が深まっていく、そんな気がしませんか?え、そんなにしない?そんなバナナ。

…ふう。疲れた。愛ゆえにグワーッと羅列したら、なんか疲れてしまいました。いや、大事な所なんですがね。

ところで、夏の終わりってなんでこんなに魅力的なんでしょうかね?(あまりに唐突)

いや、この記事を書く際に、夏ソングを色々調べてみたんですよ。

そしたら、「君と夏の終わり」とか「君がいた夏は遠い夢の中」とか「あの丘の向こうに僕らの夏がある」とか、結構夏に対する名残惜しさや儚さを歌った曲が多いことに気がついたんですよね。

もちろん例外はありますが。やたらパスタ作ってたりとか。いや、これは夏ソングじゃないか。失敬。

要するに、人は誰しも、人によっては何となくであっても、桜に儚さを見出すように、「夏の終わり」に儚さを感じたり、「夏」に特別感を抱いたりするのではないでしょうか?
「一夏の恋」とは言っても「一冬の恋」とは言いませんよね。

そういう視点で今回の曲の歌詞を見てみると、

高くて届かぬ愛の行方も
夜を担う夕闇振り始めたら
素敵なざわめき心に投げかけて
ただ懐かしい思い出に摩り替える

ほらもうここでも懐かしさが出てくる。

この曲もそういう系ですね。

山下達郎 – “Cheer Up! The Summer”

山下達郎の他の曲でも、こうした夏の終わりの儚さや、夏が持つ独特の空気感を歌っていることを考えたら、山下達郎も夏に何か特別な思い入れがあるのかもしれませんね。
こうして、アーティストのバックグラウンドを勝手に想像するのも、1つの音楽の楽しみ方なのかもしれません。

最後にダメ押しで、山下達郎の名曲をご紹介しておきます。

NOAH VADER’s RECOMMEND Part2!!!

山下達郎 – “Forever Mine”

歌詞をバカ真面目に聴くと、若干メンヘラ臭がしますが、そこはこの際置いておきましょう。
山下達郎の曲の多くは、上で紹介したような夏の儚さや特別感だけではなく、”こうした純粋に愛し合う君と僕”について、シンプルに美しく歌い上げている曲も多いので、是非聞いて「愛し合うって良いなー」って感じてください。
ラブ&ピースがこの連載シリーズのテーマなんで。

それでは皆さん良い音楽生活を!!!

Text by : ライス趙 ノア

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