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社会問題解決の鍵は、わんこが握る?!ケアペッツ 藤田英明さん 〈後編〉

介護の質、殺処分、人材不足・・・
あらゆる社会問題を一度に解決する
ケアペッツの発想と可能性とは

*

前回から、インタビュー記事第一弾として

ペットのホームケアサービスや、
ペット共生型福祉施設「わおん」の運営をされている
株式会社CARE PETS(ケアペッツ)
代表取締役藤田英明さんにお話を伺っています。

(((前回の記事はこちら)))

めまぐるしく変わる環境の中で
自ら立ち上げた介護事業を
約900店舗にまで拡大させた藤田さん。

そこから、どのような構想を持って
現在の「ケアペッツ」に至ったのでしょうか。

介護大手からペット業界に転身?!
二つの社会問題が繋がる瞬間。

ウブマグ
そこから、どうやって現在の「ケアペッツ」に繋がっていったんでしょうか?
藤田さん
これ、どう繋がるかっていうと、全く繋がらないんだよね。
ウブマグ
えー!笑
藤田さん
全く関係ないんだけど、俺小さい時からずっと動物好きで。12歳の時に拾ったクロちゃんが、去年なくなって、29年生きたのね。そのクロちゃん、28歳くらいから認知症になってしまって、くるくる回り始めたり、ご飯あげたらいくらでも食べるようになったりして。いくらでも食べるからっていっぱいあげると下痢になっちゃうし。結局最後は何も食べれなくなっちゃうし。
それを見てて、これは人と変わらないなと思って。もっと言えば、ぶっちゃけ俺は親父が死んだ時よりクロちゃんが死んだ時の方が悲しかったの。
その経験が、ケアペッツを始めたきっかけなんだよね。


▲藤田さんの愛猫、クロちゃん

藤田さん
散歩で出会うおじいちゃんとかおばあちゃんたちも、「息子より可愛い」ってみんな言うの。で、みんな娘息子より可愛いと思ってるのに、そういえば、ペットを対象にしたちゃんとしたサービスが世の中にねえなあっていうことに気づいたんだよね。
例えば大型犬が具合悪くなっちゃったときだって、病院に連れて行きたくても大型犬だからタクシーに乗れないでしょ?それで考えたのが、動物看護師という資格を持った人が、散歩、ご飯、通院、寝たきりになった大型犬の世話、救急車を提供するサービス。
まずは試しにウェブとチラシを撒いてテストマーケティングをやってみたんだけど、1ヶ月で90件問い合わせが来たの。人間のデイサービスよりずっとくる。
ウブマグ
すごい!たくさんの方が待ち望まれていたんですね。
藤田さん
しかも、今度お客さんの半分以上は60歳以上。で、お年寄りの飼っているワンコはほぼみんな年取ってるでしょ?そして、長年一緒に過ごしてるから家族同然、または家族以上の存在になってる。さらに、みんなが口を揃えて言うのは、「こいつが死んだら俺が死ぬ」っていうこと。それくらい、ペットの存在って大きいんだよ。
だからそこにニーズがあるのが一つわかった。
ウブマグ
人間もペットも長生きできるようになりましたもんね。その分、需要もかなり増えそう。
藤田さん
あと、殺処分されてるワンコも、東京都でいうと公的処分されてるワンコの70パーセントは「飼い主が高齢」っていう理由で連れてこられてきてしまっているんだよね。お散歩できないし、お世話できないし、老々介護になっちゃったしで「かわいそうだから安楽死させてあげよう」っていう。
でもね、殺処分されたワンコの飼い主だった高齢者は、そこから認知症になったり、ADL(日常生活の中で生じる基本的な動作)が低下していったりしちゃうの。だいたいみんなネガティブになっちゃう。だから、その前段階で、お世話は誰かが代行してやっちゃおうというのをやり始めた。それがこの「ケアペッツ」、そして「わおん」に繋がっていったの。
ウブマグ
ケアペッツ、すごいスピード感で展開されてますよね!
藤田さん
ここ(デイサービスわおん)が6月いっぴにオープンして。
同時に千葉の障がい者グループホームがオープン。7月も1箇所オープンしたし、8月も、今度は「にゃおん」がオープン。
ウブマグ
これは前々から準備して「このスピード感でやろう」って動いていらっしゃるんですか?
藤田さん
なんか人が集まってくるから。やる?みたいな感じで、どんどん広まってっちゃうの。全国各地からワンコ連れて、一緒に働きたいって人が来てくれたり。「日本で唯一、ペットと働ける施設があるっていうから来ました」って。
ウブマグ
ワンコニャンコにもニーズがあるし、おじいちゃんおばあちゃんにもニーズがあるし、働く人にもニーズがある。みんなのニーズが繋がっているんですね。
藤田さん
そうそう。
あのね、ここにいるコロンちゃんも殺処分間際だったの。

▲デイサービスわおんのコロンちゃん

藤田さん
でも、ここにきたらお年寄りのアイドルなんだよ。

殺されてたかもしれない命が、ここに来たら人の役に立っちゃうんだよね。

実はこれから、福祉施設を一つ作ると必ず一頭保護犬の命が助かるっていうプロジェクトもやりたくて。

日本て介護事業所が33万事業所あるんだけど33万事業所が1匹ずつ飼えば、殺処分が33万頭減るの。日本の殺処分の数が今37万頭だから。これ来たなと思って!!!

ウブマグ
おー!

▲グループホームわおんにて。幸せそうな利用者さん、スタッフさん、そしてワンコ。

ウブマグ
ワンコが一匹いてくれるだけで、施設の雰囲気も明るくなりますもんね!
藤田さん
うんうん。ケアペッツで障がい者のグループホームをやろうって思った時に、某施設に一度視察に行ったんだけど、その時の様子がひどくて。久しぶりに見たけど、20年前から全く進歩してない。みんな自分の部屋にとじこもってるし、職員との会話もないし、入居者同士の相互作用がない。これはまずいなと。
でも、そこにワンコがいたら会話が生まれるんじゃないかと思って。ワンコがいると家族団欒が生まれるってのもよく言うけど、それ施設でも同じなんじゃないかなと思ってさ。障がい者のグループホームでもやってみたら、もう取り合い。みんな集まってくるんだよ。
ウブマグ
20年変わらなかった殺伐とした雰囲気も、ワンコがいれば一瞬で変わる。
藤田さん
そうなんだよね。あと障がいを持っている方にも、自分の飼ってるペットと入居したいって方はいっぱいいるのよ。
この間入った埼玉の人は、自分が飼ってるうさぎがいるんだけど、その前にいた違うグループホームはペットがダメで。それで離れ離れにされてたら、症状がどんどんひどくなっちゃったの。で、ケースワーカーの人がどこか良いところないかなって探して見つかった先がわおんで。「ここだ!」ってことで、早速うさちゃんと一緒に入居したんだけどね。もうね、すごーく安定してるの。
そうやって、ペットと過ごせる施設を探してる人が全国にたくさんいるんだよね。


ウブマグ
働いている方は、さっき話していた動物看護師という資格を持った方たちですか?
藤田さん
そう。国家資格じゃないんだけど、獣医師会が出してる認定動物看護師っていうのと、民間資格の動物看護師っていうのがあって。これを持ってる人が全国に70万人くらいいる。でも全国に動物病院って1万2000箇所しかなくて、大体1つの施設に3人くらいしか雇用しないから、70万人も資格を持ってる人がいるにも関わらず、3万6000人分の受け皿しかないんだよ。だから、求人出すとすぐ人が来ちゃうの。
求人出したら人も来る、ユーザーもいる、ということで、うちは当たり前に事業が成り立つんだよね。動物看護師だけじゃなく、一般の介護職も同じ。うちの加盟店で人欲しいって話、ほとんど出ないもん。完全に足りちゃってる。
ウブマグ
じゃあもう、層がめちゃめちゃ厚いんですね。
藤田さん
だから介護福祉業界でよく聞く人材不足が全く関係ないんだよ。
うちの本社で経営企画室の募集をしたことがあったんだけど、1600人募集がきちゃったの。
ウブマグ
1600人?!?!
藤田さん
しかも鳶職から社長まできちゃうの。
ウブマグ
しゃ、社長?!?!
藤田さん
すごいよね。エクセルとか必要なんですけどできます?って聞いたら、第7秘書が・・・みたいな。笑
ウブマグ
漫画の世界!
藤田さん
そのぐらい動物の人を集める力ってすごくて。
ただ、これを介護事業者向けに講演したことがあるんだけど。全く理解されない。「ペットでこれだけ人が集まるんですよ!」って言うんだけどね。人材で困ってる人が集まってるはずなのに、全く理解してくれないんだよね。
この間の「デイサービスオープンします!」っていう職場説明会だって、うちは広告かけずにフェイスブックのイベントページ作っただけで、応募30名。結果7名雇用できてる。ケアペッツをやってから一回も人材難を感じたことがないもん。

勢いが止まらないケアペッツが
いま、見ているのは
命に関わるあらゆる社会問題。

ウブマグ
今日の流れとしては「今後の展望や野望を教えてください」って聞こうと思ったんですが、お話聞いてると今の勢いが凄すぎて。今後の展望っていうよりも、もう押し寄せて来る感じですね。笑
藤田さん
そうそう。笑
ウブマグ
今後もガンガン作るぜ!という姿勢でしょうか?
藤田さん
うーん。もう数がどうのこうの、っていうよりは課題を解決するために自然と数が付いて来る感じだね。
他にもやってることはあって、例えばうちはグループホームの入居者には、「税金」について学ぶための授業を、俺が直接やってる。就労支援に関しても、うちは東証一部に上場してる企業にしか紹介しない。上場企業は障害者の雇用枠が行政から決められるし、必ずそれを守らなきゃいけないわけだから必死なの。で、そういうところに就職すれば、自立できる分の給料がもらえるでしょ。会社自体の受け入れ態勢もバッチリなんだから、絶対そっちに行った方がいいもん。
うちでそうやって働いてる方は、毎日整った環境で働いて、帰ったら大好きなワンコがいて、そこから散歩にだって行っちゃうから運動だってしてる。うちは多機能型の施設にしようと思ってて。余計なことは言わなくていいから、もうグループホームひとつあったら本人も自立できて、親も安心っていう状態を目指したい。
ウブマグ
殺処分防止、ペットの老々介護の解消、就労支援、人材不足解消、入居者のQOL向上・・・。いろんな社会問題に繋がっていますもんね。
藤田さん
そう。全部やる。やれることはすべてやる。
生命につながる全てね!


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いかがでしたでしょうか?

見るからに「不安げ」なウブマグ記者を理解してくれてか、
わかりやすく、そして親しみやすい言葉を選んで語ってくださった藤田さん。

しかし、その言葉の随所から、
細かな数字を元に計算しつくされた綿密なビジョンと
社会問題解決に向けた強い意志が伝わってきました。

こちらの緊張を一瞬で打ち消すような
気さくで柔らかな雰囲気も、
決して平坦ではない道を乗り越えてきた藤田さんだからこそ
出せるものなのかもしれませんね。

藤田さん、そして介護のこれからについてもっと知りたい方は、こちら!

めちゃめちゃに素晴らしいタイミングで本を出されていましたので、合わせてご紹介します。
少しも頼まれていないのについ宣伝をしてしまう!
これはもう藤田さんの人徳です…!

これからも、めまぐるしいスピードで成長を遂げるケアペッツから
目が離せません!

藤田さん、ケアペッツの皆さん、そしてワンコたち、
本当にありがとうございました!

そして次回、

今話題の某双子と
あの超有名ラッパーがウブマグに登場?!
一体、なにを語るのか?

更新をおたのしみに!!!

*

株式会社CARE PETS(ケアペッツ)
動物看護師が飼い主様の自宅を訪問し、ペットの看護・介護サービスや、
日常のお散歩などをはじめとした、シッターなどのホームケアサービスを提供。
犬や猫の長寿化が進むなかで、飼い主の介護負担を軽減するサービスとして展開。
平成30年からは新規事業として、ペット共生型福祉施設「わおん」の運営を開始。
また、犬塾株式会社と業務提携を結び、犬とのコミュニケーションのノウハウなどを
広くお伝えする飼い主と愛犬のための「犬塾」を広める事業も推進。
https://care-pets.jp/

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本日のウブマグ記者/しょこ

テープ起こし(録音したインタビュー音声を文字に起こすこと)が苦手すぎて、べらぼうに時間がかかり、結果、録音された藤田さんの声を聴きながら眠りにつくという日々が何日も続きました。パブロフの犬的なあれで、今後、眠れない夜は藤田さんの声を聞けば安眠できるのではないか。というライフハックを思いつきましたが、変態っぽいのでやめます。藤田さん、何から何まで本当にありがとうございました!