MENU

DJ NOAH VADER:My Music life 015 BOOM BOOM SATELLITES – “KICK IT OUT”

My Music Life 015

皆さん、こんにちは。

ライス兄弟の弟、移動手段は車や電車よりも徒歩が良いノアです。
もちろん楽で早いのは車とか電車だっていうのは重々分かっているんですが、その車や電車を待ってる時間が不毛に感じるんです。待ってる暇があれば、動いていたい。目的地に向かって歩き出していたい。
ようは、待つのが面倒くさいんですがね。しかも、「結局車や電車で行った方が早かったな…」ってなるんです。困った性格だわ。

さて、今回の一曲は、そんな何かに向かってひたむきに突っ走っていきたくなる爽快感が欲しい、あなたへの一曲。

それではいってみましょう!
今回の、DJ NOAH VADER’s RECOMMEND!!

BOOM BOOM SATELLITES – “KICK IT OUT”

目、目がぁーーーーー、チカチカするーーー!!
それ以上に胸がドキドキするぅーーー!!

今回は僕が個人的に、本当の意味で日本が世界に誇れるバンド、ブンブンサテライツです。
本当に完成度が高く、圧倒的な世界観が確立されている彼らの楽曲の中からどの曲を選ぶかは、大変悩みました。
悩んだ末に、あえてここはCMなどでも起用されて、皆さんの中でも聞き覚えがあるであろうこの曲を選んだ次第です。

まず、ブンブンサテライツというバンドについての説明を少ししておきましょう。

彼らの音楽をジャンルで分けようとするならば、テクノの中の「ビッグビート」という分類に入るでしょう。ビッグビートというのは、バンドサウンドを中心に据えたエレクトロミュージックで、通常はそれらのバントサウンドを録音してループさせる手法で楽曲を組み立てていくジャンルです。
ただ、ブンブンサテライツの場合は少し違い、バントサウンドなども全て生演奏していて、どちらかと言えばロックとも捉えられる、そんなスタイルを持っています。

こうした彼ら独自のこだわりもあり、デビュー当初から世界規模で衝撃を与えて、音楽キャリアを積み上げた場は、日本に限らずエレクトロが盛んなヨーロッパやロック大国アメリカにも及び、今なお世界中に熱烈なファンが多く存在します。(自分もその1人です)

そんな世界を震わせ続けたブンブンサテライツでしたが、音楽活動の後半はとても順風満帆とは言えなくなってきます。
ボーカルの川島道行さんの身に脳腫瘍が発症してしまうのです。

3度の手術を行いましたが、再発を繰り返し、ついに余命1年という宣告を、川島さんは受けます。
しかも、その時既に「普通であれば、歌など到底歌えない状態のはず」と言われるほどでした。

そんな最後の1年を迎えながらも、川島さんは音楽を作る事を余生の過ごし方として「音楽を作る」事を選ぶのです。

そして、2016年10月9日、最後のシングル「LAY YOUR HANDS ON ME」を遺して、逝去されます。

この最後のシングルのMVには、川島さんの実娘が登場し、ボーカルの声も以前とは違い、優しさに溢れた穏やかな声になっています。

BOOM BOOM SATELLITES – “LAY YOUR HANDS ON ME”

(オフィシャルではショート版しかアップされてませんでした。すみません!)

素晴らしい曲ですね。

ただ、私は1つだけ少し違和感を覚えることがあるのです。
それはメディアでの川島さんの取り上げられ方についてです。

私も今回同じようにやってしまったのですが、ネットで「ブンブンサテライツ 川島」と調べると、出てきたのは「死去」やら「逝去」やら、そういった言葉だらけでした。
亡くなった事が、まず真っ先に挙がるのです。

しかし、死去が川島さんの人生を代表する出来事なのでしょうか?
違うはずです。

彼が生きた中で我々に遺したのは、音楽だったはずです。
彼は自身の人生を、「死」の為ではなく、音楽の為に生きたはずです。
こうした素晴らしい楽曲で我々の心に残ったからこそ、逝去のニュースも衝撃を持って報じられたはずです。

もちろん、最後の1年間の生き様は敬意を表するべきものであって、周りから見てもドラマチックだったと思います。
ただ、人のことを紹介するときに、真っ先に「亡くなった」と言うことから入るなんて、寂しいじゃないですか。
その人の事を思い出すとき、我々もきっと「亡くなったね」なんて言わず、「あんな事があったね」「あれは今でも傑作だよね」と語るはずです。
もちろん、ネットに挙がっている記事でも、内容はちゃんと川島さんのパーソナリティやレガシーについて掘り下げられています。
ただ、表題、読者がまず入る所は「死」になっているのです。

僕は、何度も言うように亡くなった事も書きましたが、それよりも彼がどういう風に生き、どういう姿勢で音楽と向き合い、我々に与えてくれたのか、その過程を一番大切にしたいのです。

なので最後にもう一曲ご紹介します。

DJ NOAH VADER’s RECOMMEND

BOOM BOOM SATELLITES – “BACK ON MY FEET”

奇しくも、この原稿を書いている日がまさに10月9日であり、川島さんの三回忌となります。
よって、ここにBOOM BOOM SATELLITESで残した素晴らしい楽曲の数々と彼の生き様に敬意を表して、ご冥福をお祈りいたします。

BOOM BOOM SATELLITESをもっと聞きたい!と言う方はベスト盤も発売されているので、彼らの世界観に是非ともどっぷり使ってください。いや、むしろ勢いに飲まれて浸ってる余裕ないかも。感覚で言うと、洗濯機の中で回されてる感じでしょうか。

それでは皆さん、良い音楽生活を。

Text by : ライス趙 ノア