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IKIRO:天才と変態の連載021

[連載]天才と変態の連載021

8月にばあちゃんが胆嚢炎で手術し数ヶ月入院した。
身体拘束され徐々にせん妄がつよくなり、人格が変わり今いる場所、日時、状況、身近な人の顔がわからなくなっていった。
食事も口から取れず見舞いに来た人には暴言。
どんどん痩せていった。
そこまでして生きる必要あるかなって思いが頭をかすめた事があった。
苦しまずに一瞬でいけたら楽だったのにって。
それは、元気だった頃、本人が常々言ってきた事でもあったから。

医療が進んで病気や障害を負っても随分と延命できるようになった。
肉体的にかなり厳しい状態を無理やり生き伸ばすこともできるようになった。
逆に言うと死ぬのが難しくなったよね。

俺は延命させる事だけが正解では無いと思っている。その生き延びた命で何をするか、何ができるかってのも重要じゃないか。

今まで「もういいんじゃないかなぁ」 なんて思う場面にも何度か遭遇しているから
婆ちゃんにも「もう頑張らなくてもイイよ」と言ってあげたかった。

手術後ばあちゃんの体につながっているのはIVH、導尿、点滴、腹部から出ているドレーン。
体に4箇所管が繋がっていて、熱は下がらず、口からものが食べられず両手はベット柵に縛られ朧な意識。
そういう状態が長く続き本人が苦しそうにしていて周りの家族も疲れてくると
「この先どうなるんだろう」と不安になった。

そんな不安の中、忙しくお見舞いにも行けない間に医療の力と家族の力で徐々に回復していき
11月お見舞いに行った際、「隠岐からきたの?会いたかったよ〜〜」と入院前とほとんど変わらない婆ちゃんがいた。

医療凄い!
いや、婆ちゃんもっと凄い!!
よく頑張った!!
若干諦めかけてすまん笑

(喜びの舞)

とは言えベットで寝たきりだったので、下肢筋力が低下しウォーカーケインで10メートルくらい歩くのが精一杯。
リハビリして手すり捕まって歩けるようになれば、在宅でも爺ちゃんと二人でなんとか暮らせるかなぁなんて想像してた。

しかし、爺ちゃんとしては毎日タクシーで病院までお見舞いに行き長い廊下を歩き病室にたどり着く生活に疲れ果てていたため一刻も早く婆ちゃんを自宅に連れて帰りたいようだった。
家に帰れば婆ちゃんの好きな食事を提供できるし、見舞いに行く必要がなくなるという
爺ちゃんの立場からすると、完全に正解。

でも、介護職の孫からすると
このまま在宅に帰ると転倒するするリスクが高く、次に骨折して入院したら在宅復帰は難しいんじゃないかと言う思い。

爺ちゃんの気持ちはわかるが、せめてトイレまで行けるようにリハビリするか、難しければポータブルトイレで自立できるくらいになってから帰って欲しいという思いがあった。

自称孫ランキング暫定ナンバーワンの俺の話なら聞いてくれるかもしれない、、、。
ということでイヤらしく自筆のメッセージを病室の冷蔵庫にぺたり。

(孫らしさ全開。素敵。可愛い。モテたい。)

これは効くはず。リハビリ頑張れ!とニンマリして島に帰りましたが
全く意味をなさず爺ちゃんの一存で婆ちゃんは歩けないまま退院していました笑
孫無力ですね笑
まぁ、爺ちゃんは主介護者ですからね。しかたないですかね・・・

定期的に両親と連絡をとり祖父母の現状確認。
婆ちゃんは退院後室内の手すりで移動できていたが今はそれも厳しいようだ。足に力が入らずほぼ外出していないそうだ。

ここで婆ちゃん周りの気持ちを整理しよう

爺ちゃん(主介護者)→リハビリさせて元気になってもらい徒歩で移動をさせたい

俺(自称孫ランキング暫定1位)→リハビリしつつ車椅子利用して行動範囲を広げてほしい

我が両親(毎日介護のお手伝い)→爺ちゃんは車椅子を断固拒否してるし息子は車椅子すすめてくるし、わからない。困る。介護の手伝いあって疲れる。

婆ちゃん(素敵)→多分車椅子を使ってでも外出したいが、爺ちゃんに気を使い本心言えず。

なるほど!
家族が介護するって大変なんだね笑
自称孫ランキング暫定ナンバーワンとしては
婆ちゃんを車椅子に乗せてQOLを向上させる案を強力に推し進めていったが

俺が車椅子をプレゼントすると言う提案も
爺ちゃんがブチ切れ困っていた。

そんな中最高のチームプレイ生まれる!
俺の意見を反映して母が爺ちゃんに再度車椅子の提案をしてくれた◎

いいぞー!最高だ!
メールを読むなりメルカリで車椅子とクッションを購入。

(市販だと9万くらいでした。安い。俺いい奴 モテたい)

(これもメルカリで2000円 クッションまでプレゼントできるなんて。 モテたい。)

サイズ感は経験から大丈夫だと思うが
違和感があれば介護保険を利用しピッタリのものをレンタルすればいい。

今は車椅子に婆ちゃんを乗せて
笑顔を引き出し、前向きに生きてもらう事。
その笑顔をみて、爺ちゃんに外出での気分転換の素晴らしさを理解してもらう事。
それが一番大切だ。

せっかく生き延びたんだろう。
もうそんなに長くはない。
だからこそ、笑おう。

今飛行機で婆ちゃんちに向かってる。
どんな顔で車椅子を受け取ってくれるかな。
早く会いたい。

俺はこんな時
本当に介護の仕事をしてて良かったと思うのよ。
全然関係ない仕事してたら、多分無視してると思う。
わかんねーもん。
わかんないことは、恐怖だ。目をつむりたくなる。
でも介護の仕事してたからこそ見える世界があって、胸を張って提案できる。

さぁ、俺と一緒に車椅子で街中を爆走しよう。
食いきれない程の好物を買い、笑いながらそれを食おう。

それができたら最高だよ。
待ってろ正月!

今日の押し付けの一曲
「IKIRO」 卍LINE
「生きてりゃイイことあるぜ」 ってのを近くの人は伝えたらイイと思う

※ 物語はフィクションです。用法・用量を守って正しくお読みください。
 読み込みすぎると、一般的な価値観、常識から逸脱する可能性があります。
 
 
Text by : Dyson Daigo

特別養護老人ホーム職員 & LOVE AMAプロジェクトリーダー
真面目と不真面目のギャップが病的な36歳
http://www.love-ama.com/