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作業療法士 × プログラマー?! リハビリの未来を変える新たな職種「DRE」を作ったひとりの女性:野呂ゆき乃

 
 
 
 
野呂ゆき乃。

青森県出身。

好きなもの、グミ。

作業療法士であり、プログラマー。

このひとりの女性が、もしかしたら

未来のリハビリを

変えてしまうかもしれません。
 
 
 
 

タピオカみたいなおめめの女の子。その正体は?

ウブマグ
自己紹介をお願いします!
野呂
野呂ゆき乃です。作業療法士で、今はデジリハという事業に「DRE」として関わっています。
▲デジリハに関しては、ぜひコチラをご覧ください!

ウブマグ
元々作業療法士として働かれていた、ということですが、なぜ作業療法の道に進まれたのでしょうか?
野呂
昔から漠然と、人の役に立ちたいと思っていました。そして、「人の役に立つ仕事」といえば、「病院で働くこと」だと思っていたんです。でも、私、人が嫌いだから、対人じゃない仕事がしたくて。
ウブマグ
「人が嫌い」!(笑)
野呂
最初は、医療機器を作るような仕事をしようと思い「メディカル工学」を学ぼうと思っていたんです。
ウブマグ
いや、ちょっと待ってください(笑)昔から、人が嫌いだったのに、なんで人の役に立ちたいと思ったんですか?
野呂
うーん。ただ真面目だったんだと思います。何か人の役に立たなければと、昔から漠然と考えていました。
ウブマグ
それで選んだ道が、メディカル工学だった。
野呂
はい。でも、その道も、とても厳しくて。結局、第二志望で「作業療法学科」に入ったんです。「作業療法」という響きがなんとなく淡白に聞こえたので、いわゆる医療職とは違うのかな、と思い、そこに進学を決めました。

ウブマグ
でも、作業療法ってがっつり人と関わりますよね?(笑)
野呂
そうなんです!!!入ってからそのことに気づいて。
ウブマグ
笑。
でも、現在は作業療法士としてリハビリに関わる仕事に誇りを持っているように見えますが、そこに至るまでにはどのようなきっかけがあったのですか?
野呂
大学の時に、自閉症の子と遊ぶサークルに入ったんです。そこがすごく楽しくて。
ウブマグ
人間は嫌いだけど、子どもは好きだった、と!
野呂
はい。子どもは可愛いから好きです。
ウブマグ
(不思議な人だなあ。)
野呂
それから、子どものリハビリに関わりたいと思いました。

念願の小児リハ、現場で感じた“違和感”。

ウブマグ
実際にリハビリに関わる仕事をされて、どうでしたか?
野呂
楽しかったですけど、色々と考えることもありましたね。リハビリが嫌がる子どもに対して大人が「これは訓練だよ」「遊びじゃないんだよ」と言っている場面を見て、とても違和感を感じて。
ウブマグ
現状のリハビリではよく見る風景ですよね。
野呂
リハビリにも、色んな考え方があるんです。さっき言ったように「リハビリは訓練だ」と考えている人もいるし、私のように遊びながらリハビリをしていきたいと思う人もいる。お前のリバビリはリハビリじゃないと言われ、悔しい思いをすることもありました。
ウブマグ
うーん。。。
野呂
もちろん、「辛いけど頑張った」経験というのも子どもには大切だと思っていて、障がいがあるからって全部楽にしていいわけじゃないし、その見極めも大事ですけどね。でもやっぱり私は、子どもに嫌な思いをするだけの1時間過ごさせるのは嫌だし、子どももセラピストも親御さんも、もっと楽しくできるリハビリがあるんじゃないかって。そう思っていたんです。

「当事者」の気持ちを知った、大きな出来事

野呂
さらに、今に大きく影響している経験が、てんかん発作です。実は、大学生の時と、社会人になってからの2回、てんかん発作を起こして倒れたんです。
ウブマグ
ええ!
野呂
その時、主治医に言われたのが、「いつ発作を起こすかわからないから、一生薬を飲まなきゃいけない。ネオンが危ないから夜は外に出掛けちゃダメ。夜更かししちゃダメ。一人で暮らしちゃダメ。」という、制限の嵐。
その時、「もう人生終わったな」と思ったんです。
ウブマグ
それまでの生活が一変しちゃいますもんね・・・。
野呂
私、ずっと病院で、足を切断した人や余命を宣告された人を見てきたはずなんです。そんな人たちと比べると「たかがてんかん」と思われてしまうこともわかってはいるんです。けど「終わったな」って思ってしまった自分がいて。
野呂
その時に、障がいや病気の影響は、症状や事例だけで判断できるものじゃなくて、その人じゃないとわからない複雑な状況があるんだなって身にしみて感じたんです。症状の軽い、重いだけじゃなくて、いろんな要素が絡み合った状態で、それぞれが闘っている。だから患者さんにも「もっと辛い人がいる」「もっと頑張っている人がいる」なんて言葉は絶対言えない。もっとその人自身を見て、関わっていきたいと改めて感じました。
ウブマグ
なるほど。・・・あれ?ちょっと待ってください?今、そんなこと感じさせないくらい、自由に生活されてますよね?!
野呂
はい(笑)最初のうちは、怖いから全部制限してたんですけど。病気から逃げるように生きるのが本当に楽しくなくて。だんだんと、悔いのないように生きるのが一番だなって思うようになったんです。幸い、薬がしっかり効いて、症状も落ち着いてくれているので。もちろん毎日薬を飲みながらの自己責任の元ですが、病気を理由に、やりたいことを制限して、閉じこもっていきて行くのは違うなと。
ウブマグ
攻めの姿勢に変えたんですね!
野呂
はい。その頃から、既存のものにとらわれることなく、自分のやりたいことをして、後悔のないように生きたい、と思うようになりました。

「デジリハ」との出会い

▲デジタルアートとリハビリテーションを掛け合わせ、小児のリハビリを楽しく変える「デジリハ」

ウブマグ
デジリハに関わるようになったのは、どのようなきっかけからですか?
野呂
「小児 リハビリ 研修」で検索したら、デジリハが出てきたんです。あまり深いことは考えず、面白そうだから話を聞いてみよう!と思って門を叩きました。
ウブマグ
積極的!実際に関わってみて、どうでしたか?
野呂
デジリハは、『障がいを持つ子どもたちと、プログラミング教室「デジリハLAB」に通う健常児と言われる子どもたちのタッチポイントを作る』、というのが大きな特徴の一つなのですが、私は最初、その「デジリハLAB」に関わることから始めました。そこではじめて、健常児と言われる子どもたちと関わったんですが、彼らにアプローチすることが、障がいのある子どもたちの幸せに繋がるというのはすごい仕組みだなと思って。
ウブマグ
その景色が、野呂さんが目指していた社会の形とリンクしたのですね。
 

新たな職種「DRE」誕生秘話

▲プログラミング教室「デジリハLAB」

ウブマグ
そこからプログラミングを勉強されたとのことでしたが、始めた当初は、どんな感じでしたか?
野呂
正直、全く訳がわからなかったです!!!!
ウブマグ
野呂
当時、誰も教えてくれる人がいなくて。ダウンロードの方法も、開き方も、もう何から何までわからない。
ウブマグ
そこからどうやって今のレベルに?
野呂
ある日、違う方が作ったプログラミングのデータを見せていただく機会があったんです。それを見た瞬間に「なんだこれは!わかる!わかるぞ!!」って。笑
ウブマグ
不思議。ビビっときたんですね。
野呂
はい。地道に学んでいた点と点が、そこではじめて繋がりました。そこからは、プログラミング漬けの毎日です。3ヶ月ほどで、リハビリの動きを促す、デジタルアートを使った「デジリハアプリ」の制作ができるようになりました。

▲当時作ったデジリハアプリは、今でも展示会などで活躍中!

ウブマグ
正式に「DRE」になったのはいつ頃ですか?
野呂
プログラミングをはじめて半年くらい経った頃ですね。メンバーに、「で、お前はなんなんだ?」と聞かれて(笑)
ウブマグ
リハビリの知識とプログラミング技術を駆使して、アプリ開発をしちゃう作業療法士・・・。
野呂
はい。結果、プログラミングのできるPT、OT、STなどのリハ職を「Digital Rehabilitation Engineer」、略して「DRE(ドレー)」と呼ぶことになり、私がその第一号に。
ウブマグ
新しい職種を作っちゃった訳ですね!

リハ職 × プログラマー、リハビリの新時代を創る“DRE”という存在

野呂
今は、デジリハの開発を進めるために、施設や病院に赴いたり、デジリハLABで子どもたちにプログラミングを教えたり、全国各地で仲間を作るために説明会に出かけたり、あとは、私の後に続く「DRE」をもっと増やすために、日々奮闘しています。
ウブマグ
「DRE」を増やす!
野呂
はい。私のように、今のリハビリをもっとアップデートしていきたいと思っているPT、OT、STさんって、たくさんいると思うんです。そんな方たちにぜひ「DRE」としてデジリハに関わっていただきたい。
ウブマグ
でも、DREになるにはプログラミングをイチから覚えなきゃいけないんですよね?
野呂
そうなんです。でも、もうすでに何人か候補生の方がいてくださって。やる気のある方には、私もできる限り協力しますし、その過程で一緒にDREという存在を作り上げていきたいと思っています。
ウブマグ
では最後に、これを読んでくださっている「DRE」になりたい方、興味のある方々に、メッセージがありましたらぜひお願いします!
野呂
プログラミングも作業療法も私にとってはただのツールなんです。私は、世界中の子どもたちがハッピーになるためにできることならなんでもしたい。もし、同じように思ってくださる方がもしいたら、ぜひ、一緒に行動を起こしましょう。きっと、いや絶対に、楽しいですよ!
 

果たして、次のDREは現れるのか?!
これからもデジリハ、そしてDREから、目が離せません!!

 
 
 
 
 

▼デジリハとは
子どもの視点とデジタルアートで小児医療・療育を革新していくプロジェクト。

特徴その1
従来のリハビリテーションをベースに、子どもの好きなモノ・コトを反映した
デジタルアートを用いることで、子どもたちが意欲関心を持ってリハビリに
取り組めるようにすることを目的としています。

特徴その2
病児・障がい児と健常児のタッチポイントをつくることを目的としています。
キッズデジタルアート&プログラミングスクールを開校し、キッズプログラマーを
育成します。
更にそのキッズプログラマーとリハビリをしている病児・障がい児が 一緒にデジリハを
つくる機会(子ども会議)を設け『病児・障がい児と健常児のタッチポイント』を実現し、
偏見や差別のないフラットな関係を築きます。

〈全国説明会〉
デジリハでは、全国で説明会を実施中!
「デジリハを我が街にも!」
という皆さま、ぜひご連絡ください!
詳細はコチラ!!

〈メディア掲載歴〉
BS-TBS 「夢の鍵」 #102 子供が喜ぶリハビリ技術
朝日新聞、soar、bouncy その他多数

その他、デジリハに関するお問い合せはこちらよりご連絡ください。


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本日のウブマグ記者/しょこ

今回は、法人内のインタビュー企画です。
同じ法人にいても、意外と深くまで話を聞くことってないので、
とても良い機会でした。
ちなみに今回のテーマは「みんなを野呂に惚れさす」です。
・・・どうです?惚れました?