MENU

2020年に完成する「ケアの文化拠点」ほっちのロッヂがつくるごきげんな未来

2020年春、

制度上は診療所、通所介護施設、病児保育、訪問看護、訪問診療として

軽井沢に開業が予定されている「ほっちのロッヂ」。

▲凸凹が特徴のほっちのロッヂ平面図。

制度上は・・・ってどういう意味?

何が一体どうなるの?

今回はその疑問を、ほっちのロッヂの仕掛け人である藤岡聡子さんに伺いました。

藤岡聡子さんといえば、
「福祉の再構築」を掲げ、あの「長崎二丁目家庭科室」を手がけた有名人!

記者は有名な方に取材するたびに思います。

怖い人だったらどうしよう。

失礼があったらどうしよう。

今日もガクガクブルブルで待ち合わせ場所に向かいます。。。

「こんちわー!よろしくお願いします!」

そこにはそんな記者の不安が一瞬で吹き飛ぶくらい、
気さくでチャーミングな笑顔の女性が!

そう!この方こそが藤岡聡子さんです!

か、可愛い・・・・!

そしてその可愛らしさと、
裏腹なのか合いまみれてなのか、
どこからか醸し出される元ヤn・・・じゃない、姉御感!

間違いない!

これは!

「いいキャラ」のかたや!!!!!!!
 
 
 

「制度上」は福祉施設。では、その実態は???

ウブマグ
過去にも「長崎二丁目家庭科室」を手がけた聡子さん。現在は2020年に完成予定のほっちのロッヂが話題ですが・・・ズバリ、ほっちのロッヂって、一体なにする場所なんですか?
聡子さん
ほっちのロッヂは、「制度上」は診療所、通所介護施設(デイサービス)、病児保育、そして訪問看護、訪問診療の拠点として運営していきます。
ウブマグ
「制度上」は・・・?
聡子さん
はい。制度上、そのような名ですが、実際には従来のそれらのイメージとはだいぶ違った景色になってくると思います。例えば本が好き、絵を描く、観るのが好き、劇で演じるのが好き、ミシンをかけることが得意、ジャムを作るのが好き、など、出会う人たちも、何か好きなことをする仲間同士で出会えるような、そんな場所を作りたいんです。

ウブマグ
みんなが好きに集まって好きなことをする場が、福祉施設的な機能も果たしている、というイメージでしょうか?
聡子さん
はい。もっと言えば、大人と子ども、健康な人や病気を持った人、さらに言うと、ケアする側とされる側という垣根すら無くして自然と人々が集まって混ざる場にしたいんです!
ウブマグ
なんて穏やかなカオス感・・・!
聡子さん
閉鎖的な医療福祉の施設ではなく、「ケアの文化拠点」として、ケアを通して、まちの文化が生まれる起点を目指していて。ケアが必要な方々が自分の好きなことに没頭しながら過ごせたり、近くの教育施設の子どもたちが放課後に当たり前のように遊びに来たり、美味しいお料理の匂いにつられて毎日のようにお客さんが遊びに来たり・・・。そんな風景がこの場所で生まれていったらいいなって、そう思っています。 
 
 

老いること、死ぬことと向き合い、「生き切る」ことの大切さ。

聡子さん
誰しも、老いることや死ぬことって、不安じゃないですか。でも、いつか行く道なのに、知らないふりをしている人があまりにも多い。
ウブマグ
うーん。まだまだ先のことだしって、思いたいですもんね。どうしても。
聡子さん
私たちは、老いることや死んでいくことと向き合って「その間際までどう生き切るか」ということを、ほっちのロッヂを通して描こうと思っているんです。
ウブマグ
どう生き切るか・・・。
聡子さん
今って、黄ばんだカーテンや天井を見つめながら死ぬこと、誰もいない家で一人で死ぬことが当たり前になってきてしまっているけれど、本当にそれでいいの?って思うんですよ。
ウブマグ
確かに、実際に選択肢として他の環境を選べない状況が多いですよね。
聡子さん
さらに言うと、最後の最後まで関わるであろうケアする側の人間とさえ「ケアプラン」と言う制度によって割り切られ、「時間」で関わりが区切られ、それ以下もなければそれ以上もない関係性しか築けない。そんな中で老いて死んでいくなんて、私は絶対嫌だなって思うんです。
ウブマグ
う・・・。なんだかちょっと寂しくなってきました。
聡子さん
それだったら、道を挟んだ向かいには子どもたちがいて。その子達が当たり前のように遊びにきて。庭にはたくさんの木が植えてあって。寄り道してきた人が、そこで本を読んだり、実を取って食べたりなんかしながら、みんなが自由に過ごしている。そんな場所で、時間という命を過ごしたい。
ウブマグ
確かに、聞いているだけで息の吸いやすい感覚があります。
聡子さん
そんな風通しの良い「人の流れ」のある場所で、最後の最後まで、自分の好きなことに没頭できるような、そんな場所があったら。そういう思いから構想を得たのがこの「ほっちのロッヂ」です。
 
 

両親を看取った経験、そして、母への強烈な憧れ。

ウブマグ
聡子さんが、そこまで「死」について考えるようになってきっかけはなんでしょうか?
聡子さん
実は私、すでに小学生の頃に父を、そして一人目の子どもを産んだ直後に、母を看取っているんです。
ウブマグ
ご自身の経験から、必然的に「死」について考えることは多かった、と。
聡子さん
私自身「不足感の塊」なんです。どうしてあの時父にああできなかったんだろう。もっと母にあんなことができたらよかったのに。って、気抜いたらすぐメソメソしちゃうくらい。だから今、自分の仕事を通して、父と母にしたかったことをしようとしているんだと思います。
 
 

人生の第二章の舞台に選んだ、軽井沢という土地。

ウブマグ
東京で暮らしていた聡子さんが、今回「軽井沢」という地を選んだのにはどんな理由があったのでしょうか?
聡子さん
今、私は人生の第二章が始まったと思っていて。というのも、昔っから漠然と子どもは3人産む!って決めていたんですよ
ウブマグ
それはまた何でですか?
聡子さん
実はそれも、亡くなった母への強烈な憧れなんですよね。母も3人子どもを産んでいるんです。私はその3人兄弟の末っ子。
ウブマグ
なるほど。聡子さんにとって、今でも大きな存在、そして目標として、お母さまの姿があるんですね。
聡子さん
そうなんです。で、半年前に第3子を出産しまして。やっとその願いが叶った。
ウブマグ
え!!!おめでとうございます!!!
聡子さん
ありがとうございます。毎度つわりがひどかったもんで、やっとここまできた!という感じです・・・。、じゃあ、 3児の母親になった今、人生の第二章として「これから母親としてどう生きたいのか」というのを思った時に浮かんできたのは、やはり亡くなった母の姿でした。
聡子さん
母の大切にしていた小さな庭。
そこにテーブルを出して、手作りのマフィンを食べて
「あんた食べ過ぎやで!」なんて怒られて二人で笑った。
そんな母との時間が今でも忘れられないんです。

▲ほっちのロッヂを建設予定の里山

聡子さん
そして、私も子どもたちと共にそんな風に暮らしたいと思って。母の愛していた土の匂いがするような、そんな「根をおろす場所」をずっと探していたんです。
ウブマグ
なるほど。自分と家族のこれからの生き方としてイメージできる場所が、東京ではないどこかだった。
聡子さん
そんな時に軽井沢にできる革新的な教育施設の話を知って。「ここだ!」と思いましたね。ここには自分のしたい仕事と自分のしたい暮らし方が混ざっているぞと。
ウブマグ
仕事と家庭の目指すものが、軽井沢でつながっていた。
聡子さん
夫にも相談せず、先に心の中で勝手に移住を決めましたからね。笑
ウブマグ
 
 

「言葉にしにくい」記者泣かせの事業。
そこにある、福祉の本質。

ウブマグ
実ははじめ、聡子さんのことや聡子さんの活動を取材させていただくってなった時に、大変記事にしにくい方だなと思ったんです。笑
聡子さん
まじですか!笑
ウブマグ
聡子さんのされていることって、一言で「これだ!」って言い表すのが難しいなと感じていて。様々な要素がたくさん詰まっているんですよね。
聡子さん
ウブマグ
でも今聡子さんのお話を聞いて、その理由が大変よくわかりました。ご両親を看取ったこと、母としての生き方、妻としての生き方、自分の趣味、思い描くこれからの生き方、そして死に方・・・。聡子さんという方の経験と生き方そのものが、そのまま福祉の事業になっているんだなと。
聡子さん
確かにそうかもしれませんね。私は自分の生きたい場所や暮らしをそのまま仕事に落とし込んでいるので、そこに明確な「境目」はないかもしれません。
ウブマグ
ただ、聡子さんのおっしゃっている「福祉の再構築」って、そういうことですよね。本来、生きることを豊かにするためのいろんな要素の集合体こそが福祉であるということを、「再構築」という行為によって表現していらしゃるんだなと。
聡子さん
まさにですね!「福祉」「医療」「ケアプラン」というシステム化されたものを一回分解して自分の価値観で組み立て直す。そのことによって見えてくる「本質」を突き詰めています。
ウブマグ
本当は全ての人に関わることなはずなのに、そのシステムの弊害によってなかなか伝わらなくなってしまった「福祉」という概念。それを分解して、もう一度生活に落とし込むことで、元あるべきものに戻している。それが「福祉の再構築」なんだなと感じました。
 
 

福祉職だからこそ「自分自身を満たすこと」をもっと大切にしてほしい

聡子さん
本当に私は、やりたいように、わがままに、好き勝手やっているんです。でも実は、その考え方を、ほっちのロッヂでこれから一緒に働く人たちにも持っていてほしいなと思っていて。
皆さんにすごく聞きたいんです。「自分を満たしながら働いているのか、自分の生きたいように生きているのか」って。
ウブマグ
たぶん即答できる人ってそう多くないですよね。それは医療福祉職に関わらずですけど、医療福祉職の方は特に献身的な方が多いですから。
聡子さん
でも、医療福祉職だからこそ、自身が満たされていることが大切だと思っているんですよ。だって、医療福祉ほど、FACE to FACEで人と深く関わる仕事ないですよ。もう、大きな声で問いただしたいですよね。「おいお前、自分が幸せでない状態で、目の前の人を幸せにできるのか!!!」って。
ウブマグ
ひょえ〜〜〜!!!
聡子さん
伝わりますよ、そういうのって。だから私は、ケアを受ける側だけでなく、ケアする側の人もみんなが幸せを感じて欲しいと思うんです。いいケアを行っていくために、ほっちのロッヂは、働く側も自分の思う生き方が実現できる場でありたいと思っています。

聡子さん
なんとなく世の中が勝手に決めた時間で働かなくてもいいですよ!他にやりたいことがあるから週3日しか働きませんとか、3年後にJICAに行きたいんですとか、もうそういうの、大歓迎ですよね。そこにその人が満たされる生き方があるなら、大いにやるべきたと思います。何よりそれがいいケアに繋がるはずですから。
ウブマグ
なるほど。ケアの面から見ても、そういう生き方は理にかなってるんですね。
聡子さん
決められたこと黙ってやるのがケアじゃないんですよ。時間なんで御免なさいって帰られたり、ケアプラン外なんで御免なさい、って「それ本当に自分が老いた時にして欲しい関わりなのか?」って思いますよね。
ウブマグ
確かに・・・。
聡子さん
もうね、この辺は本当に物申したい部分です。言うたら私も元ヤンですからね。いろんなことに腹立てて生きてきましたもん。今でも言いたいことは言っていきますし、もっと疑問を持つべきだと思います。
ウブマグ
あ、やっぱり元ヤンなんですね・・・。
聡子さん
髪が溶けるまで染めて金髪にしたり、顔中にピアスぶら下げたり、時にドレッドのエクステつけて、毎日とんでもない生活送ってましたからね。
ウブマグ
あわわわわ・・・
聡子さん
みんな、決められたことだけするいい子ちゃんじゃなくていいと思ってます。私自身いい子ちゃんじゃないし、いい子ちゃんとして見られたくないですもんね。
ウブマグ
ケアプランに習って横一列の福祉をぶち壊す、という感じでしょうか。
聡子さん
何より、「目の前のケアに疑問を持てる」ってことは本当に大事ですよね。医者らしい、看護師らしい、介護士らしい、を取っ払って。自分の考え、自分のケア、自分の人生と向き合うことが、事実上の良質なケアにつながっていくと思うんです。
ウブマグ
それって単純にめっちゃ格好いいですね。確かに自分だったら、そういう方に見てもらいたいです。
聡子さん
従業員の幸福度と利用者の幸福度は相関関係にあるって、全国の特養からエビデンスを取っている方がいるくらいですからね。ケアしている側が「自分の幸せ」を見つめ直すっていう機会は、本当に大事だと思います。だからほっちのロッヂでも「自分はこういう生き方、働き方がしたいんだ」という提案はこれからもどんどん受け入れていきますよ。
 
 

樹の名付け親権に、タダ飯券?!
「ごきげん」な仲間たちこと「ほっちのロッヂャー」、募集中!

ウブマグ
まさに今、クラウドファンディングをされていますが、タダ飯券など、サポーター、もとい「ほっちのロッヂャー」へのリターンもとってもユニークな内容となっていますね。
聡子さん
クラウドファンディングについては、福祉と縁遠い人々をどんどん巻き込むための仕掛けにもつなげていきたいなと思っていて。結構実験的なことをさせていただいてます。「自分の名前がついた木を植える」っていうことを「面白いな」って思う方ってどのくらいいるんだろう?とかね。
ウブマグ
噂の「樹の名付け親権」ですね!
聡子さん
自分の名前がついた木がどこかにあるって、なんか、いいじゃないですか。心の片隅に置いて生活していただきたいし、ぜひ気が向いた時は、自分の木の様子を見に遊びにきていただきたいんです。ほっちのロッヂは自由な場所なので、もしかしたら勝手にその木の実を食べている人がいるかもしれないんですけど。笑
ウブマグ
聡子さん
そんなことにも面白さやご機嫌さを感じて欲しいなと思うんです。クラウドファンディングを通して、そういうポップな気運を福祉に取り入れたい。
ウブマグ
確かに、医療福祉関係者でなくても、つい気になって足を運んでしまう仕組みかもしれませんね。自分の木の実、食べられてたらちょっとショックだけど、その一方でちょっとほっこりするかも。笑
聡子さん
まあ、いろんな人が集まって好きなことをする場ですから、ルールがないぶん面倒臭いこともたくさん起こると思うんです。でも私、その「面倒臭い」を感じて楽しみたいんです。「手間をかけたい」という表現の方が近いかもしれませんが。
ウブマグ
手間をかける。何か手のかかる行為に対して、前向きな意思と思いを感じる言葉に変わりましたね。
聡子さん
今の暮らしには「手間をかけること」があまりにもかけ離れている。時間という命を使って、本当に自分が手間をかけたいものは何なのか。そんなことと向き合い、没頭しながら、ご機嫌に過ごすこと、ご機嫌に生きることができる場所。ほっちのロッヂは、そんな場所でありたいなと思っています。
ウブマグ
今から完成が楽しみです!
本日は本当にありがとうございました!!!
 
 
 
 
 
ほっちのロッヂャーに仲間入りできるクラウドファンディングは
3月18日(月)午後11:00まで!!!

聡子さんと共にごきげんな未来を作りたい方は、以下からどうぞ!

(画像からリンクに飛びます)
 
 
 
 
 
「記事にしにくい」という、
あわや無能な記者のぼやきとも取られるような言葉さえ
気持ちよく受け入れて、応えてくださった聡子さん。
 
でもひょっとしたら、
そうやってどんどん分かりにくく日常に溶け込んでいくことこそが
これからの福祉が迎えるべき未来なのかもしれない。
 
そんなことを感じた貴重な時間となりました。
 
2020年のほっちのロッヂの完成が、今から楽しみですね。
 
藤岡聡子さん、
本当にありがとうございました!!!

 
(笑顔が本当に可愛くて最高です!!!)
 
 
 
 
 
▼ ほっちのロッヂ
http://hotch-l.com/
https://readyfor.jp/projects/hotch-l20190202
▼ 藤岡聡子
ほっちのロッヂ共同代表・福祉環境設計士
株式会社ReDo 代表取締役
1985年生まれ、徳島県生まれ三重県育ち。夜間定時制高校出身。
自身の経験から、「人の育ち」「学び直し」「生きて老いる本質」をキーワードに、
人材教育会社を経て24才で介護ベンチャー創業メンバーとして
住宅型有料老人ホームを立ち上げる。
2015年デンマークに留学し、幼児教育・高齢者住宅の視察、
民主主義形成について国会議員らと意見交換を重ね帰国。
同年11月 福祉の再構築をミッションに、株式会社ReDoを起業。
2017年東京都豊島区椎名町にて「長崎二丁目家庭科室」を立ち上げ、
高齢者から地域の若手が知識・経験を学ぶ場所として
0才から80代までのべ1000人が通う場を運営。
その仕組みやデザインのユニークさから約11ヶ月の期間で、
TVメディアにて放映4局5番組、雑誌・新聞等にて5誌、ラジオ局2局2番組、
ウエブメデイア2媒体、業界紙の巻頭インタビューに
掲載されるなど、業界から注目されている1人。
ほっちのロッヂでやりたいこと:草むしりに没頭すること
 
 
本日のウブマグ記者/しょこ

 
聡子さんの笑顔が愛らしすぎて、勝手に写真集作ろうかなと思うレベルでした。 はあ、うっとり・・・・。