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『武勇伝』:ファンタジーガールのワンダーランド002

[連載] ファンタジーガールのワンダーランド002

初の投稿、『プロローグ』を暖かく読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。

いよいよ、本編に入ります。

まず、皆さんに Kaoちゃんが2〜4歳ごろに見せてくれた「ファンタジーガール武勇伝」をいくつか、お見せしたいと思います。

その1
雨が降れば、車の中でも、傘をさす。

その2
本気でトラに襲われているのに、仁王立ち。(ありがとう、ガラス…)

その3
アザラシを見ているうちに、自らもアザラシになる。

その4
滑り台は、逆から滑る。

などなど…、なんて愉快で、楽しい娘でしょうか!どの瞬間も、とても、可愛いかったのです。Kaoちゃんのおかげで、我が家はいつも笑い声が絶えません。

あまり、先入観を持たずに、お茶目な姿を見ていただきたかったので、一見して『ちょっと不思議なだけ?』と思われた方々も多いのではないかな?と、思います。
まさに、その『ちょっと不思議なだけ?』とみなさんが感じるクリアな状態から、『自閉症スペクトラム(ASD)』と言うものに少しずつ、触れていただきたいと思っています。
なぜなら、この『ちょっと不思議』の中には、Kaoちゃんの『ファンタジーガールらしい理由』がひとつひとつ隠されているからです。

私は、常々、『自閉症スペクトラム(ASD)』は、説明が本当に難しい障がいであると感じて来ました。とても、ひとことやふたことでは、説明のできるものではなくて、実際に当事者と深く関わりを持つことで、はじめて見えてくるものがあるのではないかと感じているのです。

私は、Kaoちゃんが日常で繰り広げた『ちょっと不思議』な、これらの事を時間の許す限り、危険の及ばぬ限り(トラは、いささか驚きました…)、そして、人様にご迷惑がかからぬ限り、なるべく自由にやらせてあげたいと思ってきました。
そして、大切なことは、Kaoちゃんが自由にやっている姿をただ後ろから見ているだけではなくて、一緒に見る、一緒にやる、一緒に出来ないことも声かけなどで参加する。
そして、彼女と一緒に自分自身も、それを楽しむ事だと思ってきました。

当時、Kaoちゃんのキラキラとした幼い瞳が見つめている世界や彼女の命が躍動するように求めていた何かを同じ目線から同じ気持ちになって分かち合うことこそ、私たちにとっては未来への階段の第1段階でした。

国立リハビリ障害者支援センターの発達障害情報・支援センターによると。

〜〜自閉症は、次の3つの特徴をもつ障害で、3歳までには何らかの症状がみられます。
(1)対人関係の障害
(2)コミュニケーションの障害
(3)限定した常同的な興味、行動および活動

 最近では、症状が軽くても自閉症と同質の障害のある場合、自閉症スペクトラムと呼ばれることがあります(スペクトラムとは「連続体」の意味)。
http://www.rehab.go.jp/ddis/(国立障害者リハビリ支援センター)〜〜

とあります。

この説明文からだけでは、この障がいがどんな物なのか、深く理解できることは少ないと思います。
又、Kaoちゃんの自閉症スペクトラムについては、100人いれば、100の症例があると言われていると聞きました。
つまり、Kaoちゃんには、Kaoちゃんだけの症例と個性があると言うことだと思います。

私は、Kaoちゃんと日々を過ごす中で、よく自分の子供時代を思い出して来ました。
私が子供だった頃は、空はもっと青くて大きかった。
風は、生きているみたいに私の周りを駆け巡ったし、草木も花も、それ自体がまるで光っているみたいに色鮮やかに見えていました。
雨の音は、耳から入って、心の奥まで届くようで。
生きているものは、みんなお友達だと思っていた。
絵本やテレビアニメに夢中になって、いろいろと空想しながら、大白熱のごっこ遊びをするのも大好きでした。

私もかつては、ワンダーランドを自由に旅していたことがあったように思う時があります。
誰だってきっと、心の中に忘れられない情景を抱きしめているものです。

Kaoちゃんの場合は、ワンダーランドと現実世界を区別することが、とても苦手で、コミュニケーションにもハンディーを抱えています。しかし、彼女が見ているワンダーランドは、独特の個性を持ち合わせてはいるけれど、どこか遠くにあったり、本当は存在しなかったりするような特別なものではなく、本気で寄り添う気持ちさえあれば、私たちにも感じることのできる世界なのだと思うのです。
そして、私は娘を育てる中で、『実は自分自身が彼女から学ぶことばかりだ。』と言うことにも気付かされました。生きてきた中で、いつのまにか執着していた「ねばならない。」と言う固定概念は、すべて捨てて。もう一度、はじめから、「命が輝くために本当に大切なことは何なのか?」と言うことをKaoちゃんから、教えてもらったように感じています。

私は発達支援の専門家ではないので、すべてをわかったようなことは、言えません。でも、1つだけ言えることは、私は、Kaoちゃんのママとして、ワンダーランドのKaoちゃん専属コロボックルになる使命を持っていると言うことです。

コロボックルってアイヌの伝説の小人なんだそうです。困った時、食べ物を差し出してくれたりする。低身長で素早いんだとか!捕まえようとしたら、婦人の姿をしていたんだそうですよ!!!
(私、身長が125cmほどの素早い婦人です。食べ物も差し出しますw)

ワンダーランドのコロボックルの使命は、特別な仕事ではありません。
『ただ、ただ、Kaoちゃんを愛おしく想っている。そして、導いてあげたいと願っている。』と言うことです。そして、いつの日も、今しかない大切な時に、Kaoちゃんに何を伝えて、何を感じさせてあげられるのか、何が彼女の生きる喜びに繋がり、心を開かせるのか、それを考え続けると言うことだと思います。

この『不思議』の理由を紐解くため、Kaoちゃんの生い立ちから順を追ってお話しいたしましょう。
次回は、ファンタジーガールの誕生秘話から。

どうぞよろしくお願いいたします。

Text by : Aki
姉妹デュオグループSAKURANBOで活動中のシンガーソングライター
ワンダーランドで就業中の車イスUserママ(先天性骨形成不全症)
https://www.facebook.com/sakuranbo.music.info/

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