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『ラブレター』:天才と変態の連載009

[連載] 天才と変態の連載009

僕は母のことをどれくらい知ってるだろうか
介護の仕事についていると、サービス利用者についての家族からの情報がとても重要になってくる
本人はもう、自分の事を言葉にできない可能性があるし、忘れてしまってることもある
その代わりに、近くで生活していた家族が情報を提供することで、より良いサービスを提供できるようにするのだ

仮に
母が今認知症になって
施設に入所することになったら
僕はどれだけの情報を施設に提供できるだろうか
全然わかんないや

母ちゃん
食べ物何が好きだい
飲み物何が好きだい
なんで薙刀なんてやってるんだい
趣味はなんだい
生きがいはなんだい
今までで一番お思い出はなんだい
出かけたい場所はどこだい
やってみたいことはあるかい
大切なものは何だい
スピッツが好きだよね
どの曲が好きだい
元気になる曲はなんだい
元気がない時に聴きたい曲はないんだい
スピッツのレコード壁に飾ろうよ
一緒に行ったライブ、どれが一番面白かったかな
僕はどんな息子かな

僕は生きている
母も父も祖父母も生きている
最高だね
生きてるうちに聞かなきゃね
次会うときに、スピッツの好きな曲ベスト20をメモってもらおう

面と向かって聞くのは恥ずかしいけど
「ボケた時、気持ちよく過ごしてもらいたいから色々教えて」
なんて笑い話にしながら話す時間が
何よりも親孝行な気がする

母よ
36歳の誕生日プレゼント(何だったかはマジで忘れた笑 多分食べ物)
に添えてあった手紙
「よく食べ よく働き よく遊んでね!」って
休む暇ないじゃんね

(左:母からのラブレター 右:友達からの似顔絵)

いやいやいや!!!!!
今気づいたけど

戌年3回目だから(笑)!!!

しっぽりした記事にしたい気分だったのに
最高だな母ちゃん
ラブ

皆さんも時間を見つけて親孝行してみてね

※ 物語はフィクションです。用法・用量を守って正しくお読みください。
 読み込みすぎると、一般的な価値観、常識から逸脱する可能性があります。

Text by : Dyson Daigo

特別養護老人ホーム職員 & LOVE AMAプロジェクトリーダー
真面目と不真面目のギャップが病的な36歳
http://www.love-ama.com

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