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『介護現場にいても楽しいだけで、救いたい人を救えなかった。』:23歳女子が語る[人と出会うためのツール、KAIGO]004

[連載] 23歳女子が語る「人と出会うためのツール、KAIGO」004

介護現場で拾った3つの課題
介護施設という空間がとてもとても狭く、窮屈に感じていた私は一般的な介護福祉士としての王道のキャリアアップ(リーダー職→主任→管理職→ケアマネ)はどうしても私の中でいいイメージではありませんでした。それはなぜか?

①「介護職の教育不足」が浮き彫りだった。
介護現場はある意味、入り口が広いので、人材は現場にたくさん来ます。でも、肝心な人を育てられる人がいない。人を育てる時間に費やすことができない。そんなことをしているうちに、無茶な介護をして腰を痛めてしまう。介護を使い熟すことが出来ずにストレスを抱え仕事を楽しめない人をたくさん見てきました。私自身も、自分がケアをしながら人を育てることのリスクや限界を感じました。

②「評価体制に基準がない」ために、誰がどんなケアをしても許されてしまう。
極端な話、いいケアしている介護職も悪いケアしている介護職もみんな平等に同じお金がもらえる。この、競争の無いみな平等の文化がある限り、モチベーションも質の高いケアも保つのはやっぱり難しいです。「介護職個人」が評価される社会にしたい。

③「経験年数=介護スキル」という無言の圧力が生むストレス。
新入介護職っていうと新卒の介護職を想像してしまいがちですが、ここでいう新入介護職の定義は「“目の前にいるじぃちゃんばぁちゃんと信頼関係が出来ていない介護職”」のこと。例え介護歴2年目の子でも、その方と日々一緒にいる訳なので、そのじぃちゃんばぁちゃんとの信頼関係はできているのです。一方で、介護歴10年の新入介護職は「介護歴10年だから大丈夫だよね?」と、出来る人扱いをされてしまう。本来、この仕事で一番重要視しなくてはならない「信頼関係の構築」が出来ないままに仕事を任されてしまうといった現状があります。
また、介護現場の永久問題である「腰痛問題」や「定着率が低い問題」の原因も、本来時間をかけなければならない「わたしとあなたの間で生まれる唯一無二の関係性」「わたしとあなたでしか育まれないケアの方法」を創ることに時間が割かれていないことだと私は考えています。


〜銀木犀から日本の福祉文化を再構築!〜

この3つの拾ってしまった課題を解決すべく、VRを通じて何が出来るか? 私たちの挑戦が始まっています。
私も今、転職をして1ヶ月が経ちましたが、出来ない事ばかりで自分が嫌になってばかりです。初めて、介護現場に飛び込んだ時のキモチに立ち返ります。でもそんな時、「今出来なくても大丈夫」「あなたのままでいいんだよ」って言ってくれる仲間に、周りに居てくれる人に、心から救われました。
今度は私が介護を受ける人にはもちろん、介護する人にも、そう伝えたいです。出来なくても大丈夫。“「ケアの目的はケア出来るようになることではない」”と。


〜最高の仲間たち〜

今回も最後まで読んでくださった方、有難うございました!次回のウブマグは7月1日!もう夏じゃん! 祭りだ〜

Text by : 川上はるな

旅が好きな介護福祉士
介護現場のあらゆる問題解決のために、世界中を飛び回る。

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