『魔法にかけられて』:ファンタジーガールのワンダーランド016
[連載] ファンタジーガールのワンダーランド016
「ミラクルマジカルフレッシュスタ〜〜〜〜!!」
って、最近、Kaoちゃんが魔法をかけてくれます❤︎
実はプリキュアにハマっていて、その辺りから出てきている魔法の言葉のレパートリーがたくさんある、今日この頃。
プリキュアシートの上で、今宵も晩餐会w
あなたにとって、『魔法』とは、なんですか?
呪文を唱えたら、何かが、パッ!と変わってしまうような出来事。
あっという間に、目の前に現れた光り輝く不思議な現象。何でも出せる、何でも叶う。
そんな魔法が使えたら、どんなにいいだろうかと憧れるけど、それは、おとぎ話や映画の中にしかないと、多くの人が思っているかもしれない。
しかし、実を言うと、私は、生まれてから今日までの間に、何度も何度も『魔法』にかけられていて、今でも、それらの魔法のすべてが、全くとけないままでいる。
さて、『魔法』のことは一旦、忘れてもらって、お出かけのファンタジーガールの話をします❤︎
ファンタジーガールは、別名、アウトドアガールの異名を持つほど、現在、お出かけ好きの野生女子で御座います❤︎
以前の記事で書いていますが、Kaoちゃんはベビー時代、お散歩すらもままならないほどに、一日中、パニック的ギャン泣きの嵐を繰り返していました。
そのギャン泣きの状態を文章で伝えるには、どのように説明したらよいか、正直、わかりません。
とにかく、普通の怖がり方ではなかった。理由もわからなかった。『泣き止まない』と言うよりも、『気絶するまで終わらない』と言う感じでした。
1歳半の乳児検診では、Kaoちゃんがあまりにもパニック状態だった為、その場で別室に呼び出されて、聞き取り調査があったほどです…。
はじめのうちは、そんなKaoちゃんを外へ連れ出すって、かなり勇気と忍耐と根気のいることで、すごく覚悟を決めて、『よし、行くぞ!』という感じだったと思います。
1番辛かったのは、きっとKaoちゃん本人。本当に頑張っていました、いつもいつも、一生懸命、恐怖と闘っていました。
でも、本人が辛いだけではなく、結果的には周りにもご心配をかけてしまう場面が多々あったかと思います。
ママは車イスで、腕の中には火がついたようなギャン泣きのKaoちゃん……
目立たないはずはない(笑)
暖かく見守ってくださる方もいれば、鋭い視線を感じたことも正直、ありました。
どんな風に見えているのか…車イスのお母さんが、ひきつけを起こしてるんじゃないかというほど、赤ちゃんを泣かせている…みたいな…。
そんな風に、思われた事も、きっとあったのではないかと思うと、正直、気が狂いそうでしゅ❤︎(笑)
でも、そんな事をいちいち考えていたら、物事は何も進みませんね❤︎
そんなとき、Kaoちゃんには耳元でずっと繰り返し言って聴かせて来ました。『怖くないよ、ママがいるから絶対、大丈夫だよ。ママは、ずっとそばにいるよ。』って、いつもいつも、Kaoちゃんの耳元で祈るように唱えて。
そして、『ママである私が、逃げ出して、どうするんだ!』と、心の中では、いつも、唱えていた。
あっ、『唱える』って出ましたね。
今、私、2つ、魔法を使ったこと書きました❤︎
私たちの姿を見て、その時は、誰も気づかなかったかもしれない。
でも、私たちは、『魔法』を使ってた。あの時もずっと、『魔法』を使ってた。
さて、
やっぱり
『魔法』のことは、一旦、忘れましょう。
2歳を過ぎたころ、Kaoちゃんの状況は、少しずつ変わって来ました。
それ以前は、泣いている状態の方が圧倒的に多かったし、なぜ泣いているのかすらわからないことばかりでしたが、2歳を過ぎた頃から、Kaoちゃんには『きっかけ』があって怖がっている事が明白にわかるようになりました。
その『きっかけ』が、私たちにとっては、考えた事もないような内容だったりすることがあります。スーパーの食品冷蔵システムの音が、うるさ過ぎるとか。レストランに入ったら混じり合う食べ物の匂いや食器の音で耐え難いとか。
私たちが、なんとも思わずにいることのひとつひとつに、Kaoちゃんには独特の感じ方があって、はじめは、その状況がKaoちゃんにとって何もかも慣れない出来事だったと言うことです。
日を追うごとに、少しずつ、泣いている時間だけでなく、笑顔の時間も増えてきました。笑顔の時と、泣いている時のメリハリが出てきたことで、何をしている時は楽しくて、何をきっかけに泣いているのかが、見えてきたのです。
そこで、
コロボックルと家族たちは、Kaoちゃんをどんどん外へ連れ出すことにしました。
平日は、スーパーやデパートの買い物にも、毎日のように必ず連れて行きました。土日祝日は、パパと毎週のように、レジャーに連れて行く。
『騒いでしまう。大変だから、しばらく連れて行くのはやめよう。』って言うのは、我が家では禁句でした。
外出、外食、ばんばんさせる。経験でしか学べないことは、山のようにあると思ったからです。繰り返し、体験すること。失敗を恐れないこと。
公園では、遊具の順番を守らなければならない。買い物では列に並ばなければならない。そう言った、『待つ』と言う行為が、自閉症の人には、とても苦手な場合があります。
Kaoちゃんにとっても、それは、とても苦手なことです。
最初の頃は、列に並んでいることが出来なかったし、並んだとしたら並んでいる間、かなり工夫をして待ち時間をつぶしました。それでも、耐えられなくなると、泣いてしまう。
それは、どんなお子さんにとっても似たり寄ったりでしょうが、Kaoちゃんの場合は、その『泣いてしまう』と言うところまで達した時には、最終的にパニックの状態までいってしまいます。
当時、周りに多々、ご迷惑をおかけしたシーンがあったことは、重々、わかっておりました。
それでも、私たちにとっては、『やり遂げること』が大切だったのです。
感覚を開けては、何度も何度も、同じ場所へ出向き、同じ事をKaoちゃんと一緒に挑戦し続けました。今日がダメでも、また必ず連れていく。次は、一歩でも前へ進んでいるはず。その先には、きっと笑顔と自信みなぎるKaoちゃんの姿があるはず。
『引きこもってはいけない。失敗したなんて、思わせてはいけない。今日は今日、明日は明日。』それが、私たち家族の合言葉です。
半年前には出来なかったことも、半年後にはできるようになっていたり。以前は、全く受け付けられなかった場所やシチュエーションにも、繰り返し体感することで、その守備範囲を広げて行きました。
本当に目覚ましい成長をたくさん見せ続けてくれた Kaoちゃん。
今も、苦手なことはたくさんあります。上手くいく日といかない日。『究極、20歳までにできていたら良い。』それが、私の口癖です(笑)
Kaoちゃんの笑顔が一瞬だって見られる場所があるなら、私たちは、そこへ行く。その想いに応えるかのように、次第にKaoちゃんの様子は変わって行きました。楽しいと感じている時、興味が湧いている時、彼女が『これだ!』と思った瞬間には、逆に目覚ましいアクティブさを発揮し、半端なく動き回ってきたファンタジーガール❤︎
私たちのお出かけ訓練ジャーニーは、数年間、連日、果てしなく続けられました(≧∀≦)
お陰様で、平日も休日も、家でのんびり過ごしたり、掃除をする暇がなく、一時は、我が家、考えられないほどの汚部屋化(笑)むしろ、だんだん、家にいる方が辛くなり、誰も帰りたがらなくなったことは、さて置き……
気が付けば、私たちの状況は180度、変わっていました。
パッ!
っと、変わっている。
これは、スーパーの冷蔵システムの音を聴きながら、缶コーヒーのグラデーションカラーに見惚れている、Kaoちゃんです。
誰も制限しなければ、Kaoちゃんは、1時間、2時間と、缶コーヒーグラデーションと冷気のヒンヤリ感と、冷蔵システム音を楽しんでいるでしょう。
私は、時間の許す限り、この時間を奪わず、大切にしています。彼女にとって、これは、ただの缶コーヒー売り場ではありません。
すごくすごく美しくて素晴らしい情報を得ようとしている瞬間です。この瞬間の中に、苦楽を共にして乗り越えた先の『夢』があるのです。
この缶コーヒー売り場のグラデーションは、私たちのワンダーランドなのだ。
スーパー、デパート、レストラン、公園、動物園、水族館、牧場、花畑、テーマパーク、花火大会、映画館、こども向けのコンサートやショー、宿泊。
季節の花が咲いていると聞けば、見せに行きました。興味の湧きそうだと思うイベントがあれば、人混みの中も。車にも、バスにも、電車にも、何度となく挑戦。昨年は、11月には、遂に飛行機にまで乗った!!
実を言うと、Kaoちゃんが生まれる前、コロボックルは、根っからのインドアガールだった(笑)
だって、別にそこへ行かなくても、空想だけで見た事と同じくらい遊べる(笑)コロボックルには、そう言う技があると自負しておりましたから!w
気付けば、Kaoちゃんは、私をどこへでも連れて行ってくれました。
裏を返せば、結局、Kaoちゃんが私をワンダーランドへ連れて行ってくれるんですよ、本当に。いつも、いつも、私を連れて行ってくれた。
「今日は、なかなか色々あったなぁ…」と言う日も、幾度とありましたが。それでも、いついかなる時も、私たちの魔法の言葉は、『楽しかったね!また、必ず行こうね!』以外にはありません。
私にとって、『魔法』とは、『一念』のことです。
『一念』とは、エネルギーそのものです。
『一念』を定めた時から、私たちの魔法は始まっている。そして、素晴らしいことは、『一念』とは、『けして後悔することのない魔法』であるということです。
時間の概念や結果論では語れない、計り知れない生命のエネルギーではないかと、コロボックルは感じるのです。
今日まで、私たちは、数え切れないほどの、たくさんの『魔法』を使って来ました。この『一念』が、私たちを変えていくんだ。
動物園で終始泣いていたKaoちゃんは、今や、1人で乗馬体験まで。
今年、ディズニーランドで自ら希望して、スプラッシュマウンテンにまで乗れちゃいました。これには、私もビックリです。
当たり前のことなんて、何1つなくて、すべてが私たちを彩る奇跡。
さて、
我が家のプリンセスは、数日前、無事に七歳を迎えました。
みなさんに支えられて、こんなに大きく成長し、弾けるような笑顔をたくさん見せてくれるように。見守り続けてくださっている皆様に本当に感謝の想いです。
コロボックルの骨形成不全症も、KaoちゃんのASDも、今の医学では、まだ根本的な治療をする事ができません。
私たちは、なぜか『魔法』にかけられていて、なんだか少しだけ不思議な世界を生きているようです。
でも、キスをしても魔法が解けないカエルの王子に、お姫様は新しい『魔法』をかけてくれるんだ。
『ありのままに人を愛する魔法』
永遠に解けない、新しい『魔法』です。
Text by : Aki
姉妹デュオグループSAKURANBOで活動中のシンガーソングライター
ワンダーランドで就業中の車イスUserママ(先天性骨形成不全症)
https://www.facebook.com/sakuranbo.music.info/
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