
DJ NOAH VADER:My Music life 017 GASSFFELSTEIN – “PURSUIT”
My Music Life 017
皆さん、こんにちは。
ライス兄弟の弟、最近あちこち行きすぎて、昔みたいに、違う土地に行った時のワクワク感が感じられなくなってきた、ノアです。
なんというんでしょうか、昔はどのに行っても何に乗っても新鮮味があったんですよね。プラス、どこに行くにしたって親が同伴する為、なかなか行く機会がやってこない分、レアな事としてドッキドキのワックワクだったと思います。
今では、パッと行って、シャっと乗って、ピャーッと行ったら、はい到着、なので、淡々と移動するって感じがします。良くも悪くも離れた場所が近く感じれるようになった、とでも言うんでしょうかね。
ただ、いくら移動や到着した時には淡々としてても、本当のワックワクを感じる為に何が大事かって、そこで何と出会い、何を経験するのか、ですよね。
そう、私はこの間東京に行った時に、ドッキドキのワックワクを感じたのです。
このウブマグを運営してるNPO法人Ubdobeの10周年記念パーリーにて、感じてしまったのです。
というわけで、今回は僕が最近参加させていただいたパーティーと、これから自分で主催するパーティーの発端を、ツラツラ書かせていただこうと思います。
まずはこれまでの話。Ubdobeパーティーの話。
⬆︎こんな感じの会場でこんな感じの雰囲気でした。
会場に入るまでは、東京の人の多さに疲れ始めてたのと、二日酔いで頭が回ってないのと、クラブの入り口が分からず、変な地下倉庫(奥から実験動物的なクリーチャーでも出てくるんちゃうかって感じの)に迷い込むはで、テンション下がり気味でした。
しかし、ようやく会場に近づき、コミュ力高めの人達に迎え入れられ、用意されたDJブースに入った途端、
「オラ、なんだかワックワクしてきたぞぉ〜」
となるわけです。
いやー、楽しかったです。
楽しかった気持ちを音楽で表そうと思って、最近ハマってる曲の中からぴったりの曲を見つけました。
ということで、少々強引なDJ NOAH VADER’s RECOMMEND!!!
GASSFFELSTEIN – “PURSUIT”
か、カッコよすぎるわい!
アーティストのゲサフェルスタインは、フランス出身のテクノDJ。「ダークテクノのプリンス」なんて呼ばれてるイケメンDJです。
その名の通り、曲調としてダークでダーティなものが多いのが、彼の特徴。
他の多くのテクノよりもテンポがゆっくりしていますが、その分1つ1つのビートが腹に響き、こっちにまでエネルギーが注入される気分になりますね。
そんな彼、2015年にアメリカで行われた大規模フェス、コーチェラでのプレイを最後に突如活動を休止したのです。
しかし、今年、これまた突如ニューヨーク、ロサンゼルス、パリの街中に、彼の名前のみを記載した巨大看板が現れたのをキッカケに、「いよいよ復活か!」と騒がれていました。
そして!ついに!今月!なんと!
プレスリリースにより、Columbia Recordsと契約したとの速報が駆け巡りました。
なので僕を含めた巷のテクノフリーク達は、ようやく彼の新曲が聞けると色めきたってるわけです。
…話を戻しましょうか。とりあえず、この曲のように、腹にズンズンと響き溢れてくるテクノのビートにより、僕は興奮状態だったのです。
しかし、自分の出番を全うし、その場の人とも交流をさせていただいた少し後、僕は感じていました。
ワクワクとは別に、自分の中でモヤモヤした気持ちが広がっている事を。
Ubdobeのパーティーはいつも、クオリティが高いのです。
それは、出演者が他の、いわゆるザ・福祉イベントとは桁違いなくらい豪華で、クオリティが高く、真にパーティーとしてエンジョイ出来るものに仕上がっていることだけでありませんでした。
その会場の雰囲気が、荒々しさをありながら同時に統一的にまとまり、1つの集合体としての熱を放っていたのです。
そして、その熱された空間の中にも医療福祉のキーワードに沿ったトークやブースが設けられていて、皆が自然とそれを受け入れる。
僕にとってそれは、最高にクールな場所であると共に、この上なくジェラシーを感じざるを得ない光景でもありました。
Ubdobeが運営するウブマグで、Ubdobeのイベントを褒めるのも、少々ヤラセな感じがしますが、僕はUbdobeのメンバーでもない第三者なので、これが本当に感じた気持ちでした。
第三者だからこそ、羨望の眼差しで見るのです。
自分にもこんなイベントが出来たら、と。
思えば、僕がDJを始めて早4年。色々なイベントに出させていただきました。そして、その度に、「ヤダ、カッコいい…」と思うイベントにも多く出会ってきました。
そんな中で、何がきっかけかは分かりませんが、羨望の眼差しが悔しさの眼差しに変わっていくのです。
「クッソ、俺だってよ、やってやんよ」と。
「他の人に提供されるだけじゃ嫌だ。自分の人生は今までずっと提供されっぱなしだった。自分でも何かを提供できると証明したい」と。
思えば、DJを始めた時と同じ気持ちが再燃していたのでしょう。
さあ、話が進んできましたね。ここから第2章です。
こういった思いを感じていた中で、我らが京都にある日本最古のクラブ、京都メトロの通称「パパニック」さんと、この連載シリーズの第6回でもチラッもご紹介した超絶イケメンの大和魂とボブマーリーのラブ&ピース魂を兼ね備えたアレックスさん、僕が勝手に「ラスタマン親子」と呼ばせていただいているお2方の「主催イベントやったら良いジャマイカ!」(少々語弊あり)という、後押しも受けて、で主催のイベントをやる事に一念発起したわけです。
さあ、イベントをやろうと思い立つも、何をどうしよう。どれだけひねり出してもうんともすんとも出てこない。
そんな時、横を見たら夢中になって漫画を読んでる兄がいる。
いやいや、無いな。僕は昔から、兄弟2人で何かをするという事が嫌いでした。
何故ならそんな事をすると、兄弟2人で力を合わせて目標に向かう仲睦まじい「ライス兄弟」という枠組みとして見られて、自分単体になった時のアイデンティティは何なのかと考えずにはいられなくなるから、です。
たた、もう一度素直に考え直すと、
ジョナ=アート
ノア=ミュージック
あれ、案外合うんじゃね?いけるんじゃね?
思い立ったが吉日。ライス兄弟としてやる事が決定。
ただ、ここでもう一つ問題が生じました。
「俺、これっぽっちもアートのこと分からん」
まぁジョナがいるので、特段僕がアートのエキスパートになる必要もないのですが、2つの要素を1つのイベントに混ぜ込むため、片一方だけ理解してては、2つを掛け合わせる事も出来ないし、そもそも意味がなくなってしまいます。
そこで考えました。アートってなんぞやって。
僕が最終的に思い当たったのは、アート=他と違って特徴的なもの。超シンプルでバカっぽい。
でも、あながち間違いではないはずです。
世の中、何の変哲も無いものをアートとは呼びません。何か他と違うもの、異質なもの、特殊なもの、ヘンテコに見えるものが、アートと言われるはずです。
そう考えたら、何も作品としての物だけではなく、人すらもアートとして捉えられるのではないんだろうか?
だって、人は皆違うんだもの。
「みんな違ってみんな良い」って言いますやん。
この世の中、特に日本では全体主義的とも言えるものの見方によって、「違う」という事が劣等性と結び付けられる風潮がありました。それは今までの話ではなく、現在進行形の話のはずです。
しかし、世の中で受け入られているアートに置き換えてみたらどうだろうか?
普段価値を下げられている「違い」を、一旦アートとして昇華させて、そのアートをクラブイベントを通じて身近に感じてもらったら、暗に意図したことも、何事も自然になるんじゃないか?受け入れやすくなるんじゃないか?
そう思いました。
僕の人生ずっと人と違う事ばかりでしたが、僕を始めとした人と違うマイノリティ(マジョリティの人達1人1人も)の人にとって、他の人から見て「特別」なことなど、本人にとっては全く「特別」ではないのです。
今巷ではアートをより身近にと、伝統的な芸術だけではなく、現代アート、中でもデジタルアートを体感する企画も軒並み現れて、まさにアートブームとも言える世の中になってきています。
じゃあ、そのアートに、上記の様な隠れた意味合いも少しくらい含ませたってバチは当たらないはず。
なので、今僕らが開催しているイベントには、障害やら福祉やら医療やらマイノリティやら、そういった言葉は一切使ってません。必要性もなければ、使いたくもない。
あるのは、アートとビートのみ。
こんなメッセージ性が少しばかり込められていて、実際はハチャメチャにエンジョイしまくるためのイベントが2018年の6月に開催されて、各方面から好評を得たのを良い事に調子に乗って第2回を11月22日、開催します。
イベント名は、「CANVAS」。
▲CANVAS vol.2 “Black is Beautiful” 詳細はコチラ
この記事を書いている2018年11月20日現在、主催イベントの第2回が明後日までに迫ってきて、急に書き留めたくなった次第です。
普段の音楽談義を期待していただいてた皆さん、申し訳ございません!
何を隠そう、この記事の正体は壮大な告知でした。
しかし、いちDJが主催イベントを開催するまでの思いをそのまま赤裸々に書いてるので、まぁそれなりに意義はあるのかも、と自分を落ち着かせて、ここら辺でおいとましようと思います。
それにしても、やっぱりごちゃごちゃになってしまったなぁ。反省。
最後に、数日前に公開された曲で今回の僕が書かせていただいた想いと、これまたピッタリ当てはまる曲を見つけたのでご紹介。
SALU feat.古舘伊知郎 – “MAKE MY BRAND”
異色すぎる、このコラボ曲。挑戦し続ける2人の合作。それだけで胸熱。
曲中の歌詞、「人の成功を羨め。それが極上のエナジー」の通り、これからも僕は人を羨みまくります。
それでは、皆さん良い音楽生活を!!
Text by : ライス趙 ノア