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馬糞系ナースの生きる道 #03「バリアはフリーにしていく主義」

#03「バリアはフリーにしていく主義」

こんにちは。馬糞のはるかです!
前回やっと自己紹介が終わったところですが、
今回は、実際わたしは補助人工心臓をつけて、どんな生活をしているのか、お伝えしていきたいと思います!

おへその横にあけられた穴からドライブラインというチューブが心臓につながっていて、これとともに四六時中生活しております。

ちなみにこの機種は約3kgあります。

ちょっと物を取りに行くときでも、トイレに行くときでも、「ヨッコイショっ…」とカバンを斜めがけして行くので、
「今からどこに出かけるの??」と聞かれるのが日々の恒例行事(笑)となっております。

お店で、「お荷物はこちらにおいていただいて結構ですよ!」って言われるのも外出時の恒例行事です。
「荷物じゃなくて、コレ、わたしの心臓なんです。」って言って、
「へっ!?!?」ってなる相手の反応を見て楽しむのも補助人工心臓あるあるとしてよく語られる事実です(笑)

置くんじゃなくて、持っていただけると助かるんですが…

…ドライブラインは30cmほどしかなくて、相手との密着度がキモいことになるので、実際にお願いしたことはありませんよ!!
安心してください。自分で持ちますんで。。

補助人工心臓は器械ですので、もちろん電気の力で、心臓の代わりを果たしてくれているモーターが動いています。
活動時はバッテリーで、休んでいる時はコンセントから電力を確保することが必要です。

これが自宅に置いてある機器です。
補助人工心臓を電源駆動に変換してくれるパワーモジュール、バッテリーを充電するための充電器、現在の器械の動きを監視しているモニターが主な物です。
医療機器なので、日本ではマイナーな、アースがある3Pコンセントをベッドとの位置を計算して、退院に合わせて、部屋につけてもらいました。

お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、

就寝時はコンセントに繋がれているんです。そして、ただコンセントを抜いて移動すれば良いというものではなく、移動するためには電源のケーブル2本をバッテリーに繋ぎ変えないと死んじゃいます(汗)
夜中にトイレに行きたいからといって、寝ボケながら、そんな命綱をつなぎ替えるのは危険が伴いますので、入院中はおまるで用を足していましたが…

ジャーン!!

ベッドのそばに、簡易水洗トイレもつけてもらいました。
水洗です!うれしい!!
いつでも汚物を清潔に水に流せる幸せを日々感じております。

これで、すべて解決!
…と思いきや。

さすがに寝るときはカバンをおろします。
が、先ほど述べたように、ドライブラインが30cmほどしかないので、そのまま寝返りをしようとすると、器械が引っ張られます。
寝返りするときも器械のことを意識していないといけないのか〜。熟睡できないなあ…

体の動きに合わせてついてきてくれたらいいのに〜〜。

あ!
いいこと思いついた。

ウエストポーチをつけて寝ればいいんだ!!

寝ているとき、動きが激しいタイプの人間なので、
今までは朝起きたら体にケーブルが巻きついているというドMな事態となっていましたが、
ウエストポーチによってその悩みは解消されました!!
めでたしめでたし。

日常生活、工夫をすれば、不自由なこともそこまで気にならないようになる。っていうことが実感できました。

次に、お風呂はどうしてるの?
という疑問がわいてくると思いますが、noteにて記事を公開中です♪

「シャワータイム」
DCMナースはるか
https://note.mu/dcm_nurse_haruka/n/n56732787a3af

ぜひこちらも覗いてみてください!

今年も馬糞系ナースをよろしくお願いいたします!

話は変わりますが、
新年早々、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』を見てきました。

筋肉が徐々に衰えていく難病である、筋ジストロフィーにかかりながらも自らの夢や欲に素直に生き、皆に愛され続けた実在の人物・鹿野靖明さんと、彼を支えながらともに生きたボランティアの人々や家族の姿を描いた書籍が映画化されたものです。
当時の日本はまだ障害者福祉という考え方が根付いていなくて、福祉サービスも充実していなかった時代に、鹿野さんは、在宅療養を強く希望し、自ら在宅療養を一緒に支えてくれるボランティアを募り、家族に頼ることなく、自立した障害者の生活という道を切り開いた人物でした。

障害者は施設や家族に頼って生きて行くしか方法はない。

そんな日本の固定概念が、現在少しずつ変わりつつあるのは、過去にこのように、障害を持ちながらも活動してきた人たちの努力のおかげだとつくづく感じました。
Ubdobeの活動も、将来、障害者の概念をどんどん変えてくれるに違いないと思って、私はこのウブマグに登場することを決意したわけです。

補助人工心臓は、心臓移植までのつなぎとして2011年に日本で保険適用が認められたものです。
しかし、日本では慢性的なドナー不足と増え続ける患者で、当初は3年程度であった待機期間が、現在では5年〜10年とますます延長しています。

保険適用になる時に定められたルールがあり、補助人工心臓装着者には、補助人工心臓に不具合が起こってポンプが停止したり、患者本人が意識消失したりした時のために24時間体制で機器のテストに合格した介助者(家族・親しい人に限る)がそばにいなければいけない。ということです。
患者がどんなに元気に生活していたとしても。です。
なぜなら、補助人工心臓が珍しいもので、一般人だけでなく医療者でさえも知らない可能性があって、対処方法を誤る可能性があるから。です。
対応できる病院も数少ないので、行動範囲も制限されています。

待機期間が伸びてきているので、補助人工心臓を装着中に合併症で亡くなるケースも多くなってきました。

…いやいや。

ルールのせいで、患者本人の今までの仕事や、やりたいこと、できることができないまま、死んでしまったのでは、医療の本末転倒だと私は考えます。

何が言いたいかというと、
脳死ドナーが増えてくれ〜って言っているわけでもないです。
健康な人が事故や災害で突然亡くなるのは、とても悲しいことですので。
残された家族の捉え方もそれぞれですので、そこはそれぞれの意思を尊重すべきです。

ドナー不足の日本の現状をふまえて、人間の生きる尊厳を保証する医療が提供できる環境を整える方が現実的ではないか。というのが私の意見です。

少なくとも、
心筋症などによる重症心不全の人の中には、補助人工心臓をつけて生活している人もいて、
倒れているのを見つけたら、救急車を呼んで、補助人工心臓のカバンに吊り下げられている、指定病院に電話して指示を仰ぐ。
心臓が動いていないと思っても、胸骨圧迫(心臓マッサージ)をしてはダメで、AEDを使わなければいけない。
ということを知っている人が多くなれば、少しずつルールが変わって、心臓移植待機者のQOLに変化があるかもしれない。
そう信じて、私のように生活している人が日本に存在することをひとりでも多くの人に知ってもらうために、微力ながらも、多方面で活動していきたいと思っています。
(ありがたいことに私には、介助者になってくれた家族・友人が10人ほどいるので、何か行動するたびに介助人召喚LINE攻撃をさせていただいております。笑)

実は、遺伝子解析で判明したのですが、私は、ベッカー型筋ジストロフィーによる二次性心筋症なので、この映画に特に興味を持って見てしまい、
結果、熱く語ってしまいました。

心臓移植・補助人工心臓についてはいろんな考え方があると思いますが、
これが私の意見です。

ウンコウンコばっかりふざけて言っている私ですが、根は“クソ”マジメなんです!笑
ほんとウンコ系女子ですが、これからもお付き合いくださいませ。

Text by : 辰巳 遥
DCMナースはるか。2017年に29歳で拡張型心筋症を発症し、現在補助人工心臓を装着しながら、心臓移植待機生活をしている。
移植待機者とは思えないくらいのActive Action, Active Mindをモットーに、ばふんペーパープロジェクト、コミュニティナースの活動を中心に毎日を生きている。