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『プロローグ』:ファンタジーガールのワンダーランド001

[連載] ファンタジーガールのワンダーランド001

初めまして、ナイストゥミーッチュー。Akiです。
今日からこんな楽しげなタイトルで連載を持たせていただきますが、内容はなかなかディープなものになるでしょう。
さて、タイトルの『ファンタジーガール』とは、いったい、誰のことなのでしょうか?
それは、この写真に写っている6歳の少女のことです。

青い海に向かって飛び立とうとしている少女のはにかんだ笑顔。
彼女は、私のひとり娘の香桜(かお)ちゃんです。
綺麗な名前でしょう?
でも、読み方が難しいので、ここから先は、Kaoちゃんと表記いたします。
それからもう既にお気づきかと思いますが、誰かに言われてしまう前に前持って言っておきたいと思います。
「私は120%の親バカです。」
ですから、『120%の親バカ連載』がスタートしたわけです。
でも、親は子供にとって永遠の「バカ」であっていただきたい。この世に生まれて来てくれた自分の我が子を親が溺愛しなければ、誰が他に『バカ』が付くほど、その命を愛してくれるのでしょうか?
そんな、ファンタジーガールのママとパパ。

ところで写真から伝わるかどうかわかりませんが、ママは、とても小さいのです。それもそのはずです、ファンタジーガールのママは、ワンダーランドでは、コロボックルなのです!なぜ、ママがコロボックルなのかについては、次回、説明をしたいと思います。

さて、話は戻りますが、この天使のように美しい私のKaoちゃんこそ、この連載記事の主役である『ファンタジーガール』であります!

ある日、彼女は、病院のお医者さんから、こんな事を書かれた診断書をいただきました。

『ファンタジーへの没頭が顕著。』

私は、はじめて、この診断書の一文を読んだ時、思わず笑ってしまったんですよ。
だって、診断書に『ファンタジー』を証明されている人をはじめて見たからです!
「すごい!(笑)かっこいい!」って、思った。
『ファンタジーガール』襲名の瞬間。
では、Kaoちゃんは、何がそんなにファンタジーなのでしょうか?
ひとつの例として、2年くらい前のある朝のKaoちゃんの様子について紹介したいと思います。

朝、ぐっすりと眠るKaoちゃんに「おはよう〜、起きて〜、朝だよ〜。」と声をかけました。

みなさんは、朝、起きた瞬間に何を見て、どう思うでしょうか?
例えばですが、一番最初に周りの状況を見て、辺りが明るいと感じたら、時計を見る。そして、「もう7時半か…起きなくちゃ。」などと、現実的なことを考えることが、ほとんどかと思います。
そして、親しい人に「おはよう。」と声をかけられたのなら、まず「おはよう。」と返す事が当たり前でしょうか。
しかし、その時のKaoちゃんの場合は、少し様子が違いました。
朝、目が覚めて、一番最初に思い浮かんだ事と、口から飛び出して来た言葉は、「ピグレットのお家は、雨でみずびたしです。大丈夫?ピグレットは大あわてで、助けを呼ぶお手紙を書きました。」という、『ディズニー くまのプーさん』の一節でありました。
ママからの「おはよう」という言葉は、遥か彼方から聞こえて来た小鳥のさえずりのようだったかもしれません。
朝一番、目覚めた瞬間から、『ピグレットのお家が雨で水浸し』の状況が、彼女の頭の中には実際に浮かんで来るのです。
私が「バカなことを言っていないで、はやく起きなさい!遅刻するじゃない!」などと言い放つことは有り得ませんでした。
だって、ピグレットやプーさんたちは、ファンタジーガールのワンダーランドでは、とてもとても大事な、可愛いらしいお友達なのですから。

朝一番、ピグレットの事が頭に浮かんでしまったKaoちゃん。彼女をなるべく遅刻せずに保育園へ行かせるには、いったい、どうしたら良いのでしょうか?
今、彼女は、「おはよう」ということさえも忘れてしまうほどに、洪水に巻き込まれたピグレット救出に没頭しており、着替えることもできませんし、食事もできない状況にあります。
「保育園へ行きなさい!」と、強く迫れば、Kaoちゃんは、きっと大粒の涙で本当の洪水を体験することになるでしょう。

そんな時、ワンダーランドでの解決策は、ただ ひとつなのです!
(とても、簡単なことです。)

ピグレットに朝の支度をしてもらえば良いのです。

私は、すかさず、ピグレットのぬいぐるみをおもちゃ箱から出してきます。もちろん、プーさんも一緒です。
「おはよう。」と声をかけてくるのが、ママではなく、ピグレットだったらどうでしょうか?
Kaoちゃんは、すぐにピグレットからの「おはよう」をキャッチ。
ピグレットは、助けを求めて「助けて!助けて!」とか言いながらも、「Kaoちゃん、雨でビショビショの服を着替えよう!」と誘います。
着替えられたら、「あぁ、助かった、良かった!もう大丈夫!」と、ピグレットもプーさんも大喜びです。
さぁ、一緒に朝食も食べましょう。
まず、ピグレッドがひとくち食べて、次はプーさんが食べて、次はKaoちゃんがひとくち食べる番です。次はピグレットの、次はプーさんの、次はKaoちゃんのふたくち目。
そういうやり取りをしているうちに、ふと、Kaoちゃんは、朝の情景を認識します。自然と我に返って、ママである私の言葉も受け入れてくれるようになるのです。

そして、私が「Kaoちゃん、今日はこれから保育園だよ。」と言えば、ちゃんと理解してくれます。

Kaoちゃんは、現在、6歳。

私が、Kaoちゃんの成長に欠かせない、「未来」に必要だと考えて来たことが、ひとつあります。
それは、Kaoちゃんのイマジネーションが創り出す、ワンダーランドと私たちが当たり前だと思って生活している日常の現実世界を上手にインテグレイト(統合)させることです。ワンダーランドと現実世界の融合と調和の真ん中に、Kaoちゃんと私たちが深く繋がることのできる場所が存在しているのです。2つの世界が繋がれば、想っても見なかったような素晴らしい可能性と価値が生まれるのです。
もうすぐ、7歳を迎えます。少しずつ、少しずつ、Kaoちゃんがワンダーランドと現実世界を行き来する誘導の範囲は広がりつつあります。今では、朝、ピグレッドが現れても、「おはよう」は、ちゃんとママとパパにも言えるし、朝の支度も以前よりも格段にスムーズな支度ができるよう成長しています。
自分の力でワンダーランドと現実世界を自由自在に行き来することができるような力をKaoちゃんに身につけてもらいたい。私は、ずっとそれを目指して、これまで共に歩んで来ました。

でも、その力をKaoちゃんが身につけるためには、ワンダーランドと現実世界を繋ぐナビゲーターの存在やワンダーランドに入って来て一緒に世界を見る事ができる現実世界の人間の存在が必要不可欠なのです。
私は、Kaoちゃんのワンダーランドにアクセスすることのできる現実世界の住人。
あなたも、ファンタジーガールのワンダーランドに遊びに来ませんか?
どうか、知ってください。
この美しい彼女の瞳の奥に、何が輝いているのかを。そして、みなさんにも、ワンダーランドにどんどんアクセスして、娘と美しく楽しい世界を分かち合ってほしいのです。
分かち合えば、分かち合うほど、新しい価値観は生まれるのですから。

連載『ファンタジーガールのワンダーランド』は、私がワンダーランドと現実世界の調和から見た、新しい価値観についてお伝えできればと思っています。

プロローグの最後になりますが、「ファンタジーへの没頭が顕著。」とは、実際に診断書の中に書かれていた表現ですが、診断書の上の方には、医学的な診断名も記されていました。

Kaoちゃんの医学的診断名は、「自閉症スペクトラム(ASD)」

別名、その名も『ファンタジーガール』

(さて、今回Kaoちゃんって何回言ったでしょうかwww)

次回もよろしくお願いします。

Text by : Aki
姉妹デュオグループSAKURANBOで活動中のシンガーソングライター
ワンダーランドで就業中の車イスUserママ(先天性骨形成不全症)
https://www.facebook.com/sakuranbo.music.info/

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