今回の舞台は、
セクシュアルマイノリティが集う街として知られる新宿2丁目。
俗にいう「ノンケ」はなんとなく足を踏み入れづらい雰囲気のあるこの土地に、
今年、誰でも気軽に入れる足湯カフェができたとの噂を聞きつけ
勇気を出して遊びに来ました。
お邪魔したのは、「足湯cafe&barどん浴」。
よく考えたらめっちゃすごいネーミングですが、
店内はおしゃれであたたかみのある雰囲気。
奥には清潔感あふれるすてきな足湯が。。。
本日はどん浴の共同経営者でいらっしゃる、長村さと子さんにお話を伺いました。
LGBTQを超えたコンセプトを持つ店、どん浴
さと子さんはこのどん浴以外にも、新宿でいくつかお店を出されているそうですね!
はい。ここの他にも、すぐそこで女性専用のお店であるどろぶねのオーナー、そして3丁目の方でブリトー屋さんの共同経営者をしています。
もともと私自身、セクシャルマイノリティ当事者です。パートナーが女性なので、小難しいことを言わなければ、レズビアンですね。
そうそう。私は、レズビアンですか?って言われるとじゃあレズビアンにしといてくださいって言うんですけど、それはその方が伝わりやすいからってだけなんですよね。
細かいこと言えば男性とお付き合いした経験もあるし、自分が自分のことを女性として認識しているかって聞かれるとどうなのか、って思うときもありますし、一概に定義づけできないんですよ。でも、結局それが一番手っ取り早く事実に近しい理解をしてもらえる言葉なので使ってる、という感じです。
うんうん。性はグラデーションであるというのは、現在になってようやく浸透してきましたが、そういうことですよね!
LとかGとかBとかTとかQとか、それ以外にもカテゴリーがどんどんあったり言葉は増えて認知されているけど、本当のこと言うとそうやって人を型にはめること自体、ちょっとずれてるんですよね。血液型みたいに。笑
ちなみに、そういうカテゴライズを超えて人と人が出会える場所にしよう、というのがこの「どん浴」です。
「新宿2丁目」という特別な街だからこそ
ここはどんなセクシュアリティの方でも足を運べる、と言うことをコンセプトにされていますね。
はい。昔から2丁目に遊びに来ることが多かったんですが、実は私自身、「ここでもマイノリティだな」と思うことがあったんです。たとえば、私は基本的にどんな人とでも深く関わりたいと思うタイプなのですが、この街では恋愛感情でしか人と繋がれない雰囲気を感じていて。自分の考え方は、ここではマイノリティなんだと、人とのズレを感じることもあったんです。
うーん。カテゴライズが色濃い土地だからこそ、また違ったマイノリティ性を生み出す環境になり得るということですね。
そうなんです。だから、この街にこそ、カテゴライズに関係なく、もっとたくさんの人が受け入れられる「居場所」が必要なんじゃないかと思い、このお店を始めました。
足湯がつなぐのは、人との出会いのきっかけ
人ってお湯に入ると会話するじゃないですか。お湯に浸かることで、ふっと気持ちがほぐれて会話が生まれるんだと思うんです。そうやって、近くに座った人が誰だろうが。どんなセクシュアリティやマイノリティ性を持っていようが、会話が生まれるような環境を作りたかったんですよ。
温泉入るとついつい知らない人と喋っちゃう、あの感じですね!
そうそう。別に全員が全員のことを好きになれとか、認め合えとか、そんなことは一切思っていないんですけどね。むしろそんな世界気持ち悪いと思います。
でも、同じ地球で過ごす人間同士として、自分と違う人との距離感や、そういう場での発言に気をつけなさいよって思うんですよね。ただ、自分との違いを持っている相手のことを傷つけない距離感や言葉をそれぞれが覚えるのって、ある程度の関わりがないといけないんですよ。
確かに。相手を「個人」として気遣えるレベルまで理解するには、ある程度のコミュケーションが必要ですよね。
なので結局のところ、まずは関わるきっかけがなきゃいけないなと思っていて。そのきっかけとなるのが、この足湯だと思っています。
ビニールソックスがつくる多様性?!
こうして同じお湯に浸かると、気持ちがよくて心がオープンになりますもんね!
ただ、こうやって他人と同じお湯に浸かることが、不潔だ、不快だっていう人もいるんですよ。
えええ。確かに、つい自分の感覚が当たり前だと思ってしまったけれど、そういう人もいるかも知れない。
だからうちにはビニールソックスがあります。人と同じお湯に入りたくないと言う人も排除せず、足湯を楽しんでほしいんです。
なるほど、直接足をつけることを不快に思う人に対し、無理やり同じお湯につっこっませるのではなくて、それでもいいからおいで!って受け入れるのがここ、どん浴なのですね。
はい。これも多様性の受け入れですよね。
ちなみにこのビニールソックス、超優秀で、あたかも一緒に入っているような気持ちになるんですよ。
私が目指す世界って、こんな風にそれぞれの違いを受け入れながらも、自然に空間を共有できる世界なんです。だからこうやって色々な場面で、人によってチョイスがあることが大事だなって思います。
セクシュアリティ以外の多様性も受け入れられる場に
障がいのある方も来れるように工夫されていますよね。WEBをみた時に車椅子の方向けの案内が書いてあるのがすごくいいなと思いました。
設備が整っている訳ではないんですけどね。これから車椅子の方を対応できるようにもしたいなと思っていて。なるべく段差がないような道の案内を出したり、インターホンの位置をを下げたりってことはしているんですが、まだまだ試行錯誤中です。
でも、気持ちが伝わりますよね。その他のトラブルが起きた時も対応してくれるんだろうなっていう、さと子さんの気持ちが安心感に繋がる感じがします。
ありがとうございます。そうだと嬉しいです。少しずつですけど、ここを、誰も排除されないお店にできたらいいなと思ってるんです。
もっと言うと、私はこの場をセクシュアリティ以外でも、ありとあらゆるカテゴライズを曖昧にする場にしたくて。
やっぱり言葉やカテゴライズって便利ですけど、それを見つめ直して作り上げる機会がないと、人を傷つけうるし閉じ込めうると思うんです。だからこの場所は、女性、男性、障がいのあるなし、という言葉を乗り越えて「自分」や「相手」を見つける場所であってほしいなと思います。
あったかいお湯で心がほぐれて、その状態で色々な人と出会えて、「個人対個人」として会話ができる。これからも、老若男女国籍年齢その他諸々、たくさん個性を持った人が集まってどんどん面白い場所になっていきそうですね!
また遊びにきます!本日はありがとうございました!
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おまけ。
いっぱい喋ってすっかりお腹が空いたウブマグ記者。
せっかくなので、どん浴自慢のローストビーフ丼をいただきました。
はい、飯テロドーーーーーン!!!
おおおおお美味しそう・・・!!!!!!
お湯に浸かりながら、人と出会い、そしてこんな美味しいものまで食べられちゃう。
ついつい通っちゃう気持ち、とってもわかります。
どん浴さん、文句なしのおすすめです!!!!
皆さんも、ここで一緒にお湯に浸かりながら、
ゆっくりお話しませんか?
極楽この上ないですよ♡
さと子さん、どん浴の皆さん、本日はありがとうございました!
↑どん欲の詳細はこちらをCHECK!!!!↑
▼長村さと子
新宿2丁目どろぶね、足湯カフェどん浴、3丁目DOUMO&大阪DOPEを経営。
子育てする・したいLGBTQの繋がり、こどまっぷの共同代表。
2匹の保護犬と暮らしている。
本日のウブマグ記者/しょこ