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DJ NOAH VADER:My Music life 013 BiSH – “プロミスザスター”

My Music Life 013

皆さん、こんにちは。

ライス兄弟の弟、DJをやっていると聞くとすぐに行事とかのBGM係に任命される方のノアです。

そりゃ、やりますよ?DJとして選曲をするというのは本領発揮する場で、全力を尽くさねばDJとして廃るってもんです。
ただね、BGM係って意外とめっちゃ難しいもんなんです。
DJだとフロアの客の踊り具合などの反応を見ながら、曲を選んで繋いでいったら良いんですよ。が、BGMとなると、その場にいる人は基本的に別の事をやっているので、今流している曲が正解なのかどうかが、ほぼ分からないんですよね。もう不安ですよ。不安と緊張の中手探りで2時間音楽流すんですよ。怖すぎ。
ただそれは、BGMがいかに大事なのかを重々承知している事からくる恐怖なのです。
そこで流れている音楽のテンションがそのままその場のテンションに繋がっていく。上手くその場の人達のテンションとシンクロ出来れば、楽しい雰囲気になるし、空振りしたら盛大にシラケるし、食ってる飯も不味くなる。
何かをしながらなので、一般的にほぼ意識して聴く人はほぼいない(音楽関係の人はめっちゃネチっこくチェックするけど)のですが、無意識に耳には入っているので、自然にその曲の雰囲気、テンションに影響されている事もあるのです。
今度、飲食店や洋服の店などのお店に行った時には、その店のBGMに耳を傾けてはいかがでしょうか?
お店によっては自分達でミックスCDを作って、それを流しているって所もあるので、案外楽しいんですよね。流れている曲で、そのお店のセンスまで分かることも。

BGMって語り出すと案外深いもんですね。
ついつい長くなりました。

そろそろ本題に入りましょう。

今回のキーワードは、音楽に限らず、あらゆるジャンルに存在する「信者」についてです。

その前にまず今回の一曲。

DJ NOAH VADER’s RECOMMEND!!!

BiSH – “プロミスザスター”

テクノDJ、まさかのアイドル曲を推す。

「プロミスザスター」。スペースが無いので、素早く読むと?となりますが、訳すと「星に誓いを」。あら素敵。ロマンチックな曲名ですね。てか「星に願いを」じゃないんだ。

それにしても、MVの制服着た子綺麗だなぁ〜。田中真琴って言うんですって。
調べてみたら、僕と同い年の23歳でした。しかも、なんと京都府出身!!同じ時期に近くの大学に通ってた!!?な、なんだと!!!
京都に生まれて良かった。
え?もう東京に拠点を移してるって?くそっ。

いや、失礼。音楽の話でしたね。

BiSH、今年のサマソニにも出演していたので、名前を聞いた事のある方もチラホラいるのでは。アイドルに関心のないうちのヘルパーも知ってたくらいなので。
僕も、Spotifyで「今年のサマソニ予習プレイリスト」なるものがあったので、試しにシャッフル再生しながら聞いていたら、「あれ、カッコいいな」と耳に止まったのが出会いでした。
サンキュー、サマソニ。

一応括りとしてはアイドルグループなのですが、グループのキャッチコピーの通り、アイドルはアイドルでもその特徴は「楽器を持たないパンクバンド」的な音楽性。
いわゆる”アイドルソング”ではなく、曲によってはダミ声出すしシャウトもする。
なんてったって、BiSH は、「Brand-new idol SHiT」(新生クソアイドル)の略。突き抜けてますね。最高じゃないですか。
他の曲とかも聴く限り、分類的にはメロコアでしょうか。

もちろんパンクバンドって言う名で売り出していても、僕はこのグループをパンクの代表としてレコメンドはしません。
そんなこと日には、ガチ勢パンクロッカー達に革ズボンでビンタされることでしょう。

ご安心ください。パンクはパンクで、また別の機会にしっかりと語る予定なので。

話を戻すと、BiSHは普通のアイドルとも違う。純粋なパンクバンドとも違う。アイドルとパンクバンドの中間、ハイブリッドとでも言いましょうか。そんなグループなのです。

また、彼女達の特徴としてもう一つ挙げられるのは、歌唱力。もちろんMVは色々いじってるから鵜呑みには出来ないし、ライブ映像を見る限り完璧とは言いませんが、「あれ?上手いぞ…!?」と思えるレベル。
この間聞いた話では、最近アイドルの中にも分類が出来始めていて、いわゆる「正統派アイドル」とは別に、歌唱や音楽性、楽曲に力を入れている「楽曲派アイドル」なるものが台頭し始めてきたと言うのです。

その分類で言えば、BiSHは間違いなく後者の楽曲派に当てはまるでしょう。

特に、グループの要、アイナ・ジ・エンド(名前カッコよすぎ…)っていう子の歌唱力は特に秀でていて、京都でそのキャリアをスタートさせたスーパーDJ、大沢伸一のプロジェクト、
MONDO GROSSOの楽曲にも参加しているほど。
MONDO GROSSO – “偽りのシンパシー。”

声の質っていうか、歌い方的には、コアラモードと似てるかな。

他メンバーにもそれぞれに、アニメ声だったりクールな声だったりとキラッと光るものがあり、他のグループの歌唱とはどこか一線を画する、そんなグループです。
今回の曲のMVを見ても、アイドルだっていうのに田中真琴を起用して別の映像を差し込んでいるあたり、グループのメンバーはあくまで歌を武器にするっていう姿勢が見え隠れしているように感じますね。

じゃあ、本題。僕はこのグループの「全て」の曲が好きなのでしょうか?
答えは、申し訳ないのですが、ノーなんです。

今回ご紹介した”プロミスザスター”は、お聞きの通りまだパンクを抑えた、オルタナ系寄りの聴きやすい曲だと思います。
そして、私この聴きやすい感じが好きなのです。

もちろんパンクは大好きです。腹の底から突き上がる高揚感と、反骨精神剥き出しのパンク魂。最高じゃないですか。

ただ、今まで散々「BiSHはパンクバンドのカラーも取り入れた、他とは一味違うグループなんだ!」って言ってたんですが、個人的にアイドル×パンク色強めは、合わないんですよね。

というのも、僕普段からあまり特定のアーティストを好きになることって滅多になく、大抵「このアーティストの曲の中でも、特にこの曲が好き!」っていうことが多いんです。
皆さんもそういう事ありませんか?いくらめっちゃ好きなアーティストでも、そのアーティストのアルバムを買って聴いても、必ず一曲くらいは「あ〜、なるほどね」ってなる曲ありませんか?

ここで「あるある」と言った人がいれば僕は安心です。「ねーよ」と思われる方は、「世の中にはこういう奴もいるんだなぁ」と思いながら読んでください。

とりあえず、自論ですが、音楽が人間によって生み出されている以上、完璧な人間がいないように、全てが完璧な曲、全てが神曲なアルバムなんて無いんだと僕は思っています。
以前音楽関係者から聞いた話でも、「ほとんどのアーティストは、アルバムを作るときに必ず1、2曲くらいは手を抜いている」そうです。それが、1番聴かせたい、ヒットさせる自信のある曲をより引き立てる手立てにもなっているとか。

まぁ、上の話が嘘か真かの論争は置いておきましょう。
僕が言いたい事は、人が関わっていること完璧なんて無いのに、それに全肯定も全否定も無いんじゃないの?って事です。
いくら神がかってるアーティストでもスランプはあるだろうし、いつもは陽の目を見ないパンクロッカーだってたった一曲だけだとしてもそれを武器に人を突き動かしているかもしれない。

例えるなら、クッキーです。
音楽という名のクッキーは、不特定多数の消費者の為に、製造ラインに沿って、型が決められていて、機械によって管理され生地の量もチョコチップの量も牛乳の量も均一になるようになっていて、常にベストなクッキーが出来る、そんなオートマチックなものでありませんよね。
本当の、リアルな音楽という名のクッキーは、手作りクッキーで、作り手が同じでも、誰に対して作るか、何のために作るか、どのくらい甘くするのかやどんなナッツを入れるのか。日によって違います。
そして、気分が絶好調の時もあれば、イライラしてる時もある。
焼き加減も微妙に違うし、当然焦がしたりする事もあるのです。

音楽は、機械が作っているものでもなければ、機械が聞いているわけでもない。人が作って人が聞いている。
当然人によって、想いの込め方も、スタイルも、クオリティも、受け取り方も、響き方も違う。その時、その曲ごとの色がある。

違いがあるのです。

その違いを感じないまま「このアーティストの曲はもれなく全てが完璧なんじゃー!!」って言う人が、いわゆる「信者」と呼ばれるんでしょう。でもそれって本当に音楽を味わえてますか?
音楽を味わっているというより、アーティストをあじわってるん

もちろん、違いを感じた上で、それでも「このアーティストの曲は全て神曲しかない!」というなら、それはそれで良いでしょう。
曲ごとの違いを超える、アーティスト愛があるのでしょう。愛よりもむしろ恋ですね。そこまでいったら「信者」を超えた、「賢者」とでも言えるでしょう。

しかし僕にとっては、BiSHと言っても、その中の”プロミスザスター”は好きでも、他のあの曲とあの曲はイマイチ響かなかった。同じBiSHでも、この曲とあの曲には”違いがあった”、という事なのです。

こういった違いがあるということ、完璧など無いという事があってこそ、音楽は変幻自在で自由で面白いのだと、僕は思います。

というわけで、語りはここまで。なんか長ったらしい弁解みたいになっちゃいましたね。お恥ずかしい。

最後にもう一曲、響かなかった方のBiSHをご紹介!!(なんちゅう紹介の仕方や)

DJ NOAH VADER’s RECOMMEND!!?

BiSH – “DEADMAN”

んー、なかなかシャウトしてますねー。ガチのパンクやラウドロックに比べたらまだ優しい方ですが。
でも、改めて聴いてみたら案外楽しい曲ですね。何より可愛い顔した子が突き抜けてるっていうのが素晴らしい。

BiSHの最近の様子としては、2016年になってからavexと契約してメジャーデビューしてから、だんだん激しさが抑えられて、メロコア色が強くなった印象です。
加えて、メジャーデビューに合わせてかつてのキャッチコピーだった「新生クソアイドル」という言葉も封印して今の「楽器を持たないパンクバンド」に差し替えられちゃいました。

負けるな、BiSH!とことん突き付けろ、BiSH!それこそがパンクだろ!
パンク色強めの曲はともかく、その前のめりな姿勢は応援してるぞ、BiSH!!

…BiSHって何回も言うとなんかオモロくなってきました…。ウィッシュみたいな。

…このままだと、どんどんグダリそうなのでここらへんでおしまいです。

それでは皆さん、良い音楽生活を!!

Text by : ライス趙 ノア