
社会問題解決の鍵は、わんこが握る?!ケアペッツ 藤田英明さん 〈後編〉
介護の質、殺処分、人材不足・・・
あらゆる社会問題を一度に解決する
ケアペッツの発想と可能性とは
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前回から、インタビュー記事第一弾として
ペットのホームケアサービスや、
ペット共生型福祉施設「わおん」の運営をされている
株式会社CARE PETS(ケアペッツ)の
代表取締役藤田英明さんにお話を伺っています。
めまぐるしく変わる環境の中で
自ら立ち上げた介護事業を
約900店舗にまで拡大させた藤田さん。
そこから、どのような構想を持って
現在の「ケアペッツ」に至ったのでしょうか。
介護大手からペット業界に転身?!
二つの社会問題が繋がる瞬間。
それを見てて、これは人と変わらないなと思って。もっと言えば、ぶっちゃけ俺は親父が死んだ時よりクロちゃんが死んだ時の方が悲しかったの。
その経験が、ケアペッツを始めたきっかけなんだよね。
▲藤田さんの愛猫、クロちゃん
例えば大型犬が具合悪くなっちゃったときだって、病院に連れて行きたくても大型犬だからタクシーに乗れないでしょ?それで考えたのが、動物看護師という資格を持った人が、散歩、ご飯、通院、寝たきりになった大型犬の世話、救急車を提供するサービス。
まずは試しにウェブとチラシを撒いてテストマーケティングをやってみたんだけど、1ヶ月で90件問い合わせが来たの。人間のデイサービスよりずっとくる。
だからそこにニーズがあるのが一つわかった。
でもね、殺処分されたワンコの飼い主だった高齢者は、そこから認知症になったり、ADL(日常生活の中で生じる基本的な動作)が低下していったりしちゃうの。だいたいみんなネガティブになっちゃう。だから、その前段階で、お世話は誰かが代行してやっちゃおうというのをやり始めた。それがこの「ケアペッツ」、そして「わおん」に繋がっていったの。
同時に千葉の障がい者グループホームがオープン。7月も1箇所オープンしたし、8月も、今度は「にゃおん」がオープン。
あのね、ここにいるコロンちゃんも殺処分間際だったの。

▲デイサービスわおんのコロンちゃん
殺されてたかもしれない命が、ここに来たら人の役に立っちゃうんだよね。
実はこれから、福祉施設を一つ作ると必ず一頭保護犬の命が助かるっていうプロジェクトもやりたくて。
日本て介護事業所が33万事業所あるんだけど33万事業所が1匹ずつ飼えば、殺処分が33万頭減るの。日本の殺処分の数が今37万頭だから。これ来たなと思って!!!

▲グループホームわおんにて。幸せそうな利用者さん、スタッフさん、そしてワンコ。
でも、そこにワンコがいたら会話が生まれるんじゃないかと思って。ワンコがいると家族団欒が生まれるってのもよく言うけど、それ施設でも同じなんじゃないかなと思ってさ。障がい者のグループホームでもやってみたら、もう取り合い。みんな集まってくるんだよ。
この間入った埼玉の人は、自分が飼ってるうさぎがいるんだけど、その前にいた違うグループホームはペットがダメで。それで離れ離れにされてたら、症状がどんどんひどくなっちゃったの。で、ケースワーカーの人がどこか良いところないかなって探して見つかった先がわおんで。「ここだ!」ってことで、早速うさちゃんと一緒に入居したんだけどね。もうね、すごーく安定してるの。
そうやって、ペットと過ごせる施設を探してる人が全国にたくさんいるんだよね。
求人出したら人も来る、ユーザーもいる、ということで、うちは当たり前に事業が成り立つんだよね。動物看護師だけじゃなく、一般の介護職も同じ。うちの加盟店で人欲しいって話、ほとんど出ないもん。完全に足りちゃってる。
うちの本社で経営企画室の募集をしたことがあったんだけど、1600人募集がきちゃったの。
ただ、これを介護事業者向けに講演したことがあるんだけど。全く理解されない。「ペットでこれだけ人が集まるんですよ!」って言うんだけどね。人材で困ってる人が集まってるはずなのに、全く理解してくれないんだよね。
この間の「デイサービスオープンします!」っていう職場説明会だって、うちは広告かけずにフェイスブックのイベントページ作っただけで、応募30名。結果7名雇用できてる。ケアペッツをやってから一回も人材難を感じたことがないもん。
勢いが止まらないケアペッツが
いま、見ているのは
命に関わるあらゆる社会問題。
他にもやってることはあって、例えばうちはグループホームの入居者には、「税金」について学ぶための授業を、俺が直接やってる。就労支援に関しても、うちは東証一部に上場してる企業にしか紹介しない。上場企業は障害者の雇用枠が行政から決められるし、必ずそれを守らなきゃいけないわけだから必死なの。で、そういうところに就職すれば、自立できる分の給料がもらえるでしょ。会社自体の受け入れ態勢もバッチリなんだから、絶対そっちに行った方がいいもん。
うちでそうやって働いてる方は、毎日整った環境で働いて、帰ったら大好きなワンコがいて、そこから散歩にだって行っちゃうから運動だってしてる。うちは多機能型の施設にしようと思ってて。余計なことは言わなくていいから、もうグループホームひとつあったら本人も自立できて、親も安心っていう状態を目指したい。
生命につながる全てね!


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いかがでしたでしょうか?
見るからに「不安げ」なウブマグ記者を理解してくれてか、
わかりやすく、そして親しみやすい言葉を選んで語ってくださった藤田さん。
しかし、その言葉の随所から、
細かな数字を元に計算しつくされた綿密なビジョンと
社会問題解決に向けた強い意志が伝わってきました。
こちらの緊張を一瞬で打ち消すような
気さくで柔らかな雰囲気も、
決して平坦ではない道を乗り越えてきた藤田さんだからこそ
出せるものなのかもしれませんね。
藤田さん、そして介護のこれからについてもっと知りたい方は、こちら!
めちゃめちゃに素晴らしいタイミングで本を出されていましたので、合わせてご紹介します。
少しも頼まれていないのについ宣伝をしてしまう!
これはもう藤田さんの人徳です…!
これからも、めまぐるしいスピードで成長を遂げるケアペッツから
目が離せません!
藤田さん、ケアペッツの皆さん、そしてワンコたち、
本当にありがとうございました!
そして次回、
今話題の某双子と
あの超有名ラッパーがウブマグに登場?!
一体、なにを語るのか?
更新をおたのしみに!!!
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株式会社CARE PETS(ケアペッツ)
動物看護師が飼い主様の自宅を訪問し、ペットの看護・介護サービスや、
日常のお散歩などをはじめとした、シッターなどのホームケアサービスを提供。
犬や猫の長寿化が進むなかで、飼い主の介護負担を軽減するサービスとして展開。
平成30年からは新規事業として、ペット共生型福祉施設「わおん」の運営を開始。
また、犬塾株式会社と業務提携を結び、犬とのコミュニケーションのノウハウなどを
広くお伝えする飼い主と愛犬のための「犬塾」を広める事業も推進。
https://care-pets.jp/
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本日のウブマグ記者/しょこ
