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ドアに幸せをもらいました:俺は寝たきりになるけれど…連載010

[連載]
俺は寝たきりになるけれど…010

ある日家に帰ってきて

ドアを開けたら

そこにはドアがない

そこにあるはずのドアがない

一瞬でいろいろ察知して怒りが込み上がってくる

そこにあるはずのドアはトイレのドア

ドアはなくなり、そこにはのれんが

いろいろ言いたいことが出てくる

溢れて湧いてくる

頭が沸いてくる

顔の脂が吹き出し、髪もそりたつ

スケスケトイレ

ちょっとエロい

スケスケというか丸見え

しかも玄関から丸見え

お客さん来たら丸見え

座った状態なら目が合う

それはそれでウケるけど

友達来てトイレ貸してって言われたら、お互い地獄

てか、人が家に来たら恥ずいし

トイレにドア付いてないって

ありえんやろまじで

しかも、経験上分かるのは、のれんはうまく手が動かない俺からしたら身体に絡むし、つっかえ棒でつけてるだけだからすぐ取れる

てか、絡まってイラついてブチ外す流れが目に見えてる

これは去年夏場に各部屋に付いていたのれんを外しまくったから知ってると思うんやけど

とにかく、ただただ邪魔なだけ

ドアがあったほうが、ドアノブにつかまれたり、ドアに身体を寄っかからせたりできるのが

ドアがないと、こけるリスクが上がる

今の俺の身体の状態や、できることから考えたら

ただただ迷惑な話

冷静に考えれば、俺のためにドアを外したことは分かる

俺がトイレに入りやすいように考えたのは分かる

優しさは分かる

ありがとうと言いたい!

言いたいんだよ本当は

でも出てくる感情は怒り

マジむかつく

半分優しさで半分怒りをくれる

バファリンのようにうまくはいかないようだな

いつもであれば、何も言わずむすっとするだけだけど

怒りがおさまらない

『なんなんこれは!!!!』

声を荒げてしまう

荒げるといっても、声出てないけど、、、

帰ってくる言葉はわかってるけど

あなたのためにと思って、、、

重いしマジ、ためを思ってても、ためになってねーし

一方通行やし

まずは俺に聞いてくれよ!!!

マジで!!!

何百回も勝手にいろいろしないでと言ってるのに

心配して勝手にいろいろやってくる

まあ、聞かれたら聞かれたで、なんもせんでいいよとしか言わないけど

必要になったら言うし

たぶん

心配されるのがまじストレス

まあ、自分の子供がこの病気やって考えたらどうしても心配するやろうし

分かるけど、、、

俺も絶対そうなるけど、、、

俺の病気で誰より辛いのは親って分かってる

それを分かってるからこそ、心配かけて申し訳ないという自分への怒りがこみ上げてくる

それを自分で処理して感謝すればいいのに

苛立ちが勝ってきて不機嫌マックス

外ではこうはいかない

嫌われたくないし、うまくやろうとするから、ここまで態度や言葉には表さない

何があっても外ではニコニコ(笑)

でも家ではやってしまう

心の奥底で、家族には絶対に嫌われないと思ってるからできるんだなー

だから甘えて態度に出す

35歳、おっさんの反抗期を少し分析してみました

しかしまあ今回は、あまりにありえなくて

わざわざ人を呼んで取り外してもらって

もう一度つけてとは言いづらいし

扉を違う形で付ける案もないみたいだったし

てか、構造的に難しいし

てか、一言相談して欲しいし

マジでイラついて

実行犯の湯沸かし沸騰機ぎみの親父にも我慢できなくて言ったら(笑)

お前のためにやってやってるのにって感じでブスくれるし(苦笑)

人間関係ってむずいよね(笑)

必死にトイレにはドアが欲しいと訴えました

やっぱりトイレにはドアが必要なんだということを、ドアがなくなって初めて知ることができました

トイレに座るたびに、恥ずかしいやら、ムカつくやらいろんな感情が込み上げてくる

トイレは気持ちいい場所であって欲しいものです

そう、トイレは気持ちいい場所であるべきなんです

ちなみに僕の部屋の横がトイレです

入り口入ってすぐベッドがありますが

寝てる僕の頭の横がトイレなんです

ドアがないと、トイレの音もダダ漏れであります

親父のションベンの音や気張って漏れてしまう声なんか、聞き耳たてて聞きたくなんかはないんですよ

その必死の訴えが叶い

幸運にもトイレにまた、ドアが帰ってきてくれました

夢は叶う

落水家のトイレに平和が訪れました

親父に感謝

ドアを外した後、また取り付けてくださったマンションの下の階の○○さんに感謝

ドアに感謝

僕は幸せです

ドアのおかげで僕は幸せです

便座に座りながら幸せを感じております

Text by : 落水洋介

無職の車イスライダー。
寝たきりでもできる仕事を作るために冒険中。

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