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DJ NOAH VADER:My Music Life 009

My Music Life 009

皆さん、こんにちは。

ライス兄弟の弟、音楽以外のどっぷりハマれる趣味は映画の方のノアです。(まぁジョナもなんですが…)
もともと親父が映画好きで、子どもの頃から、スターウォーズや、小1の時に始まったハリーポッターなど、SF映画やアクション映画などを中心に見てました。
大学2回生の冬ぐらいから、ひょんなことからまた観始めるようになり、今はむしろ人間ドラマの方が好きなんですよね。
大学3回生の1番暇だった時期は1年で230本観てたほど映画にどっぷりハマってました。
忙しくなった今でも年100本観ることを目標に頑張っております。頑張るものでもないけど。

さて、今回のレコメンド曲は、そんなエピソードにまつわる曲。

そう、映画音楽です。

映画音楽と言われてピンと来ない方は、次の映画を思い出してみてください。
スターウォーズ、スーパーマン、ジュラシックパーク、ハリーポッター、インディージョーンズ、E.T.。
これらの超有名映画の超有名テーマ曲を作ったのが、たった1人ということをご存知でしたか?
ジョン・ウイリアムズその人です。
ある意味全てのジャンルの音楽の中でも、最も有名な曲の数々がこうした映画音楽の作曲家の手によって作られていると考えると、映画音楽の影響力は凄まじいものだと感じる事が出来るはずです。

今回ご紹介するのは、私が個人的に、超弩級で有名なジョン・ウイリアムズの後継とも感じている、ベテラン映画音楽作曲家。

ではいってみましょう。
今回のDJ NOAH VADER’s RECOMMEND!!!

Hans Zimmer – “The Electro Suite”

みんな大好きスパイダーマンのサントラ曲です。ハンス・ジマーが作曲した曲の中でこれを選んだ理由はただ一つ。とてつもなくカッコよすぎるから。

シンフォニックなイントロから始まり、オペラチックなヴォーカルが挿入されて、一気に爆発するかのような激しいロック調な中間部分、そしてダブステップの要素も取り入れているかのような部分もある。
全てがドンピシャ。

ハンス・ジマーという映画音楽作曲家も、ジョン・ウイリアムズと負けず劣らずとても名実ともに実力がある作曲家で、手掛けた作品を列挙してみると、ライオンキング、パイレーツオブカリビアン、マンオブスティール(スーパーマンのリメイク)、グラディエーター、ラストサムライ、レインマン、インセプション他クリストファー・ノーラン監督作品、ダークナイト、3部作、アメージング・スパイダーマン、などなど。
映画が特に好きでなくても、この中の1本は見たことがあるのではないでしょうか?

スパイダーマンも、バットマンに次ぐ、最も好きなアメコミヒーローの内の1人で、僕がこの2人の事の何がどう好きかと言ったら話が長くなるので、また次の機会にとっておきます。

ここでは映画音楽の話を。
そもそも、映画に音楽が付き始めたのは20世紀初頭の事です。しかも、最初に音楽付きの映画が上映されたと言っても、それは別に録音しておいたオーケストラ音源をレコードに焼いて、映画上映にあわせて再生するという原始的なシステムのものでした。
それが徐々に、映画に音が付くようになり、合わせて音楽もついて、音楽が演出面において大きな効果を果たす事が認識されて、今では映画にとって音楽は欠かせないものになっています。

そんな映画音楽。プロパガンダなどの政治的利用をされたものの、そもそもは娯楽の為に作られた映画。その娯楽の為に作られたもう一つの娯楽、映画音楽。

しかし映画音楽、もっと言うと音楽というのは娯楽の遥か上をいった崇高なものなのです。

それをよくよく教えさせられるスピーチをハンス・ジマーは自身のライブの中でしています。

(日本語訳 01:02〜)
ハンス・ジマー
「そして何年か経ってクリストファー監督が来てジョーカーの話をした。無秩序な社会の世界観や、パンクの要素を加えた音楽や演技について。私が監督に「誰がジョーカー役をやるのか」と尋ねたら、彼は「ヒース・レジャー」と答えた。ヒースは素晴らしかった。常に大胆不敵で極限の演技を見せた。毎日彼の演技を見て圧倒された。撮影が完了する少し前に知らせが届いた。ヒースが亡くなったと。作っていた曲がやり過ぎに感じて、抑えめにしようかと悩んだが、考え直した。ヒースと彼の演技に真の敬意を表するには、鋭さを保つべきだと。カミソリの刃や割れたガラスのような鋭さを。さらに数年後監督が言った。「3部作を完結させよう」と。ダークナイトライジングが生まれた。再び懐かしい遊び心や挑戦心が蘇った。映画が完成してプレミアも大成功。翌朝飛行機に乗り、夜明け前にロンドンに到着して自宅へ帰った。その時記者から電話が来て知らされた。コロラド州のオーロラという小さな町の映画館で我々のバットマンを上映中に銃乱射事件が起こったと。「打ちのめされた」。それが最初に浮かんだ言葉だ。誰もが同じだった。でも私は言葉は使わない。言葉は私の表現方法ではない。そして一日中被害者や遺族の事、そして彼らの孤独さを考えていた。なのでその夜仲間に電話した。「言葉ではない音楽で何か出来ないだろうか。腕を伸ばすように海の向こうの小さな町に届く音楽を作ろう」と。遺族が孤独を感じないように。僕らの思いが伝わるように。でも、今でも世界は少しも良くなっていない。だから私達は今夜ここプラハで舞台の上から手を伸ばし心を込めてお届けします。それでは聴いてください。”Aurora”。」

以上です。

このスピーチをこの文量の多さにも関わらず、ここに引用したのは、彼のスピーチに全てが込められているからです。

彼の音楽性に関しては、もちろん「生きる天才」と言う名を付けて、賞賛する人が多いです。しかし、その一方で「近年の彼の音楽は全て同じに聴こえる。彼の音楽だと1発で分かってしまうほど、分かりやすい」と、批評する人達もいます。

しかし私にとっては、彼が天才だろうか、そうではなかろうが、ちっとも関係ないのです。
彼がこうして、誰かの為に想いを込めて音楽を作り、音楽を通して人々の心に寄り添い、人々に尽くそうとするのなら、彼はそれだけで、世界で最も価値のある作曲家となるのです。

たかが音楽。されど音楽。
有名なアーティストになるにはもちろん技術や知識、メソッドなどが必要になるとは思いますが、1番は音楽の力をどれだけ信じられるか。
それが音楽に関わる者の1番の資質なのだと、彼を見て考えさせられるのです。

そんな、ハンス・ジマーと、映画音楽と、音楽の力についてのお話でした。

ちなみに、スピーチを行ったライブ、「ライブ・イン・プラハ」でも、1番上でご紹介したスパイダーマンのサントラを演奏されています。
映像と合わせてみると、余計鳥肌が止まらなくなります。
いつかこういうクオリティのイベントを、僕たちでもやりたいなぁ。

カッコよすぎるなぁ。素晴らしいなぁ。
それしか言えないなぁ。

それでは皆さん、ぜひ酔いしれてください。

良い音楽生活を!!

Text by : ライス趙 ノア